ソース会社創業家で起こった内輪もめ
母娘の骨肉の争いは裁判も係争中
フライドチキンなどにかける甘辛味のソース「メープラノーム」で有名なピブーンチャイ・メープラノーム・タイチリペースト社の創業者であるプラノーム・デンスパー氏が、25日に首相府でプラユット暫定首相と国家平和秩序維持評議会(NCPO)の会長に、家族との内輪もめの解決を求める嘆願書を渡したことが話題となった。
内容は、プラノーム氏の長女であるシリポーン氏とその夫が会社を乗っ取ったというもの。プラノーム氏は夫と2人で会社を創業。工場をバンコク郊外に造り、「メープラノーム」というブランド名でソースの製造・販売を開始した。その後、夫妻は社名を現在の「ピブーンチャイ・メープラノーム・タイチリペースト社」に改め、さらにもう1ヵ所工場を建設。新しい工場の経営は取締役である長女のシリポーン氏に任せていた。
そもそもプラノーム氏は自分と夫の後は、会社の経営をすべてシリポーン氏に継がせたいと考えていた。ところがそのシリポーン氏が2013年に文書偽造を行い、プラノーム氏の会社と土地の登記を勝手に変更。事業と財産を自分のものにしていたことが15年に明らかになり、プラノーム氏を激怒させた。
プラノーム氏は、シリポーン氏が株主名簿を改ざんしたと主張。株主からプラノーム氏の名前が消され、シリポーン氏の夫と子どもが追加されていたという。そして財産や事業、土地を取り戻すため、シリポーン氏を提訴したという内容が、プラユット暫定首相への嘆願書には書かれていた。裁判所で係争中の案件は2件。1件は先述の文書偽造。もう1件はさらに驚くべきことに、プラノーム氏の夫の遺産相続をめぐり、プラノーム氏とその次女が、シリポーン氏を訴えているという。一方、シリポーン氏は母親との争いは本意ではなく、早く終わらせたいとしている。首相府のパナッダー大臣は「仲直りに協力できれば光栄だが、家庭内の問題なので、お互い話し合うべきではないか」とコメントした。
創業家の親子げんかは昨年、日本でも話題となったが、その企業は株主総会で決着をつけた。国のトップに嘆願書を渡す前に、裁判の結果を待つなり、話し合いの場を持つなどすべきことがあるのではないだろうか。