タイを代表する名門国立校によるサッカー対抗戦
試合以外にも注目され、軍政が動き出す事態も!?
2015年2月7日、スパチャラサイスタジアムにて、タイの名門国立大学、チュラロンコーン大学とタマサート大学によるサッカー対抗戦が行われた。
これは1934年から始まり、今年で70回目。イギリスのケンブリッジ大学vsオックスフォード大学のボートレース、早稲田大学vs慶応大学の野球対抗戦からヒントを得て始まったというのが、なにげに興味深い。
同校を卒業したタレントのパフォーマンスなどもあり、タイ全土でテレビ中継される一大イベントとして知られている。1952年には、プミポン国王が来場され、自らトロフィーを与えられるなど、その話題性は日本における早慶戦以上だろう。同日、ナショナルスタジアム周辺は、ピンク(チュラロンコーン大学サポーター)と赤黄(タマサート大学サポーター)のポロシャツに身を包んだ大学生や卒業生で溢れ返った。
同イベントでは、試合だけではなく、パレードもハイライトの一つとなっている。学生たちはサンバカーニバルばりのダンスや手作りの“ねぶた”のようなものを披露するなど、とにかく派手な演出が特徴。また、名門大学ということもあって、リベラルな学生も多く、政府への痛烈な批判を風刺するのがお決まりだが、今年に至ってはさすがに学生側も自粛し、政府の事前介入もあって、表現が一部規制されていた。
しかし、そのような状況下でも反発する学生はいるもの。パレード最中、イスラム国の兵士を模した大きな人形が登場し、スタジアムを練り歩いていたが、突然その兵士のマスクを取ると、なんと軍服姿のプラユット暫定首相が現れるという驚きの演出をやってのけた。政治批判は規制対象のため、学生らに対して当局が何らかの対応をする可能性もあるという。
すったもんだの末、ようやく試合がスタートし、今年はタマサート大学が2-0で勝利を収めた。ちなみに試合には、現役学生のみならず卒業生も出られるため、プロ選手やタイ代表選手もこれまで何度も登場している。戦歴は現在、タマサート大学23勝、チュラロンコーン大学16勝、引き分け31となっている。