過去最大の視察団

世耕経産相、経団連、日商など約600人が訪タイ

 


日タイ修好130周年を9月26日に控えた11〜13日、日本から世耕弘成経産相を筆頭に過去最大規模という約600人の経済視察団が訪タイした。

ご承知のとおり、タイが求めるのは東部経済回廊(EEC)構想への日系企業による、さらなる投資だ。視察団の表敬訪問を受けたプラユット暫定首相は「EECは今後、20年に渡って整備される一大国家プロジェクト。法律で定められた構想なので政権が代わろうとも続きます」と政権交代による計画白紙などで、煮え湯を飲まされることがないと念を押した。その後に開かれた世耕経産相とタイ経済担当のソムキット副首相による会談では、タイ側から、両国による経済戦略を議論する定期会合設置のほか、タイの周辺国であるCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマ、ベトナム)を含めたメコン地域の経済発展につながる鉄道や道路整備への協力を求められたという。

同視察団は12日、日本貿易振興機構(JETRO)が主催するタイ投資促進を図るビジネス交流会に参加。交流会には、日タイ合わせて約1200人が集い、200社以上の企業が自動車、ロボットなど4つの分野(ゾーン)に分かれてビジネスマッチングに挑んだ。さらに、経団連、国際協力機構(JICA)とタイの政府機関による経済協力に向けた覚書が交わされたほか、私企業では日立製作所がEEC構想へのIoT(モノのインターネット)技術分野での協力を約束した。

いずれにせよ、今回の大規模な経済視察団により、日本の誠意は伝わったはず。だが、タイ政府は中国からの経済協力も求めている。日本の一団が訪れる少し前には、プラユット暫定首相と中国の習近平国家主席が会談。中国側は「タイと中国は兄妹関係だ」と歓迎。中国が進める一帯一路の政策の過程で、タイの鉄道建設をはじめ、人材交流や観光面での協力や、ハイレベル交流を維持するなど、蜜月ぶりをアピール。今後20年に渡って整備が進むEEC。どれだけの企業が享受できるのか。号砲は鳴らされたばかりだ。

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