景気低迷、人身売買、違法漁業……解決しなければならない数多の課題
景気低迷が続き、ふるわなかった経済問題を抱えた2015年。民政移管はいまだ実現せず、人身売買問題、違法漁業、極めつけはバンコク連続爆破テロなど、さまざまな問題が噴出した。16年、タイが解決すべき課題とはいったいどんなものがあるのか?
5日、新年最初の閣議で挙がったのが、以下だった。①暫定内閣が軍事政権下で進めなければならない構造改革。②人身売買の世界ランキングで最低ランクに位置づけされるきっかけにもなった違法漁業、安全性基準が問われている航空機などの“緊急の課題”。③経済構造の見直しと洪水と干ばつを繰り返した“国民生活に直結する課題”。
また、地元紙「バンコクビズ」でも、詳細に以下のような課題を挙げている。①前述した航空機の安全性。タイのセキュリティの基準は世界水準より劣り、安全性の向上は不可欠。今年9月に国際民間航空機関が41の航空会社を調査することが決まっており、早期改善が必要となる。②前述した違法漁業と人身売買の問題。欧州委員会(EU)から「違法、無報告、無規制(IUU)漁業国」と批判され、輸出にも影響した。今月、EUは再度、タイの漁業の現状を調査するという。③今年入札が行われる鉄道複線化やバンコク都内の都市鉄道事業。高速鉄道事業では、日本の国土交通省とタイ政府が覚書を交わしたのは記憶に新しいが、中国との鉄道事業は中国が貸し付ける融資の利子によって、すったもんだを繰り返している。とはいえ、予定通り5月の着工は変わらない。④3年連続で不振が続いている輸出。昨年11月時点でも2015年はマイナス5・5%だったが、多くの機関は、今年3%未満の成長を見込んでいるという。ただし、経済担当のソムキット副首相は「是が非でも5%を達成する」と明言。また、アピサック財務相は「インフラに投資するのが遅すぎた。輸出にも頼り過ぎ。今年は“投資年”にすべき」と話している。
以上のように課題は山積しているが、“不況からの脱却”がキーワードになるのは間違いなく、それは在タイ日本人にとっても切実な問題だろう。AECの幕開けでスタートした2016年だからこそ、EUで圧倒的な存在感を誇るドイツのごとく、数多の諸問題を解決し、タイが輝けることを期待したい。