EECに熱視線

外資の起爆剤となるか、ウタパオ国際空港の新ターミナル公開

 

「民間企業の力が必要です。何があっても政府は全力で進めていくので、安心してほしい」ー。
プラユット暫定首相は5日、報道陣向けに開いたウタパオ国際空港の新ターミナルビルのお披露目式で、そう強調した。同空港は、タイ政府がいま最も注力する、新産業集積地「東部経済回廊(EEC)計画」の中核を担い、運用されれば、これまでの4倍以上となる年間300万人の利用が可能になるという。また、いずれは同空港とスワンナプーム、ドンムアン両空港を鉄道(高速線・貨物線)で結び、バンコクを含む首都圏との“ヒトやモノ”の新玄関口になることが期待されている。すでに第2滑走路の建設も始まり、計画では整備・補修・オーバーホールができる施設も整え、航空産業の活性化を目指す。まさに同空港はEECの起爆剤。お披露目式は、タイ政府の本気度を見せつける絶好の機会で、これみよがしに首相も、日本を含めた外資の誘致を求め、冒頭のラブコールを送ったというわけだ。
同日、首相を含む関係閣僚らは、招待したジェトロバンコク、アマタグループ、PTTといった日本の行政やタイの民間企業幹部とも懇談。終了後、ジェトロバンコク事務所の三又裕生所長は「EEC内では高度な知識や経験を持つ人材は、Bビザ要件(外国人1人に対してタイ人4人の雇用)を適用外にすることや、輸入の際のFDA認証手続きの簡素化もお願いしたい」と新たな恩典を求めた。さらに、工業団地開発・運営大手のアマタコーポレーションのウイクロムCEOは、「EECに不可欠な人材育成のために、アマタ大学を開設するほか、日本の日立と協力して、工業団地内の工場支援プロジェクト“スマートファクトリー”をスタートする」と明かした。
他にも、同席したウッタマ工業相は、EECへの投資を約束する企業を紹介。自動車業界からは、BMWが重要部品工場を建設し、トヨタ自動車は電気自動車(EV)開発拠点を設け、ブリヂストンは航空機のタイヤ工場を新設する。eコマース業界からは、LAZADAを傘下とする中国のアリババが物流センターを建設するほか、グーグルやマイクロソフトなどもEEC内の投資に名乗りを挙げているという。
2017年。タイのEEC熱は高まる一方だ。

 

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