移転延期となったスクンビット・ソイ38の屋台。
新たな場所はゲートウェイ・エカマイ
突然の逆転劇だった。バンコクで最も有名な屋台街、スクンビット・ソイ38の屋台移転期日が、6月21日から8月31日に延期された。
6月21日深夜、ソイ38のほとんどの屋台は、普段と変わることもなく、いつものように片付けを行っていた。大がかりな移動も見られず、傍目からは翌日に移転をするように思えた。
ところが翌22日、事態は急変。クロントゥーイ区の担当職員がスクンビット・ソイ38を訪れ、移転の準備をしていた何人かの屋台店主に緊急会合を打診。同役所で伝えられたのが、前述の約2ヵ月の延期だった。
後日、クロントゥーイ区の担当職員に電話で問い合わせると、彼は「店主たちがゲートウェイ・エカマイの敷地内(現在はソイ42側が有力)に移転を訴えており、同モールにも確認したところ、すでに了承していた。しかし、屋台の受け入れまでには2ヵ月かかるとのことで、我々も移転の延期を認めた」と経緯を説明した。
一方、バミー(中華麺)屋台の店主に直接事情を聞くと、今後はスクンビット・ソイ38の道路には屋台はおろか、テーブルやイスを置くことも許されず、もし他店が同様の行為をしていた場合でも、すべての屋台が連座して立ち退かなければならないという。先日、政府が発表した月曜の出店禁止も適用され、厳しい状況となるが、8月31日までは火曜〜日曜の通常営業が約束された形となった。
カオ・カームー(豚肉乗せご飯)屋台の店主は「2ヵ月延期されただけでもうれしい。しばらくはリラックスできるだろう」と素直な心境を吐露したが、ゲートウェイ・エカマイへの移転については「最大12店舗という狭いスペースの問題から、すべてが移るのは現実的に厳しい。また、スクンビット・ソイ38のような独特の雰囲気になるとも思えない」と先行きへの不安を口にした。
ちなみにクロントゥーイ区の担当職員は、2ヵ月後の再延期の可能性については「移転先も決まったのだから、それはないだろう」と話している。
ひとまず収まったスクンビット・ソイ38の屋台移転問題。ただし、屋台店主が話すように、ゲートウェイ・エカマイに移っても新たな風景がどうなるのかは、今はまったく想像もつかない。
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