マレーシアつなぐ高速道

“陸のハブ”となるか。インフラ整備進行中


運輸省のアーコム大臣は4月25日、タイ南部ソンクラー県の中心部とマレーシア国境を結ぶ都市間高速道路(モーターウェイ)の建設プロジェクトを発表した。

同プロジェクトでは、4車線・4カ所の料金所と、1カ所のサービスエリアを設置した総延長約62キロのモーターウェイを建設。日本のETCのような自動通行料金支払いシステムを採用するという。また、同モーターウェイから県内のハジャイ国際空港、同県南部工業団地を繋く道路も建設予定で2019年着工、22年竣工を目指す。

タイ最南端に位置する同県・ナラティワート県・パッタニー県は深南部と呼ばれ、住民の約8割がイスラム教徒。タイからの分離独立を掲げる一部武装集団によるテロなどの情勢不安で経済投資が遅れていたが、昨年からタイ政府は経済開発やインフラ整備に注力し始めた。

タイ政府の狙いは、マレーシア国境に隣接する同県サダオ市の経済特区(SEZ)の活性化。現在、投資と観光振興目的で2カ所の保税区を設置する計画を進めているが、これまではパダンべサール税関利用時は鉄道、サダオ税関利用時はトラックのみと、利用する税関によって輸送方法が限られていた。モーターウェイが完成すれば、税関もワンストップとなる予定だ。

さらにここ数年、トラック輸送で唯一サダオ税関にアクセスできるペッチャガセム道路では、タイとマレーシアのロジスティクス輸送が激増し、トラックによる深刻な渋滞が問題に。今回のプロジェクトは渋滞問題を解決するだけでなく、国境付近のビジネス価値を高め、将来的にマレーシアとの“陸のハブ”を見据えている。

同省は、来年初めにも開発事業の入札を実施する予定。日本人には馴染みがない同エリアのSEZだが、国境をまたぐタイ陸運貿易の要だという。4年後に開通する同モーターウェイにより、今後の南部の振興に期待したい。

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