進む都市開発。年30%以上で値上がる地価
BTS・MRTの新路線など、都市交通建設が続く首都バンコク。
公共交通網の発展は、さらなる都心部への人の流れを呼び込むに違いない。そんな中、テレビ出演した都市計画協会のターパナー会長は、「今後、11路線の新たな都市交通が完成すれば、148の新駅ができる。そうなれば、さらなる都心部へのヒト・モノの集中は避けられないため、現在の都市計画も変更せざるを得ない」と警鐘を鳴らする。
つまりは、現状の都市計画では人の流れを受けきれずに都心部がパンクし、逆にビジネス機会を損失させる可能性があるというのだ。通常、人の流入は、新たなサービス需要を生むため、ビジネスチャンスは増えるはず。同会長は「すべての地域がビジネスエリアにはなれない。バランスが重要で、人が増えれば交通網以外のインフラ設備も必要だが、追いつかない地域もあり、急激な発展はどこかに歪みをもたらす」と説明する。
一方、都市交通の建設計画を前に、都心部ではコンドミニアムといった不動産開発が進み、地価が高騰。ある専門家が「バンコク首都圏の地価は上がり続けてきたが、年30%を超えることはなかった。ところが、すでに30%超え、またそれに近づく土地がでてきた」と話すとおり、BTSウドムスック駅周辺(前年度比32%増、180万バーツ/㎡)をはじめ、MRTラップラオ駅(同29%増、同180万バーツ)、MRTスクンビット駅(同25%、同800万バーツ)と、地価高騰率は高まっている。
過去10年で、バンコクの都市化は目覚ましいスピードで進んだ。高度経済成長時代を経た、東京以上のスピードではないだろうか。しかし、両都市に類似するのが、街並みや景観を重んじる欧米とは違う形跡を残さない都市化だ。
今後は、新オフィス拠点開発を中心とした都心の改造・拡張、ウォーターフロント再開発のブームと続き、次に来るのが“都市再生”だ。10年後、今のバンコクの形跡は残されているのだろうか。