EECに関わる日本と中国、“駆け引き”続く?
EEC(東部経済回廊)の主要プロジェクトのひとつ、3つの国際空港(ドンムアン、スワンナプーム、ウタパオ)を結ぶ高速鉄道の開発計画について5月3日、日中の企業による第3国での“初の共同参画”を発表したのは記憶に新しい。次いで、同9日には東京で2カ国間の協力覚書を締結。同31日には、日本・中国・タイ3カ国の協力関係をテーマにしたセミナーがバンコクで開かれるなど、プロジェクト完遂に向けて動き出しているが……実際のところはいかがなものか。
同セミナーに出席した中国の国家発展改革委員・寧吉哲(Ning Jizhe)副委員長は「EECの実現によって、タイだけでなく、東南アジア各国の経済にもいい影響をもたらすだろう」と期待値の高さを覗かせながら、43年にわたるタイと中国の友好関係についてもアピール。続けて、「EECに限らず、タイ各地の経済発展にも尽力したい」と言葉を添えた。
中国の観光局によると、昨年中国人が国外へ旅行に出た回数は1億3100万回。前年比7%増加と発表された。また、旅行期間の費用は年間261億USDで世界1位。しかも人気の旅行先トップ3は、日本・タイ・韓国だという。中国がタイ観光に力を注ぐとなれば、タイ政府もご機嫌だろう。
一方、在タイ日本国大使館・佐渡島大使は「これまで30年以上にわたり、5000社以上の日系企業がタイに進出し、タイの経済発展に貢献してきた。今後、タイ・中国・日本の企業間で協力関係を促進させたい」と、3カ国の連携が肝になることを強調した。
ちなみに、盤谷日本人商工会議所が、タイにある日系企業100社を対象として調査した結果、25%はEECでのビジネス構想を持っており、15%は検討中。残りの6割は、特に関与する予定はないという。中国が積極的にアピールする中、日本はまだまだ様子見といった具合か。共同参画といえど、自国の主張も欠かさないという中国の姿勢は、日本とタイにどのような影響をもたらすのか。今後の動向を見守りたい。