タイ政府、ベトナム進出企業へ支援スタート
堅調な経済成長を続け、昨年の経済成長率は6.8%。各国の企業が魅力的なビジネス展開先として名を挙げるベトナムだが、タイ国内でも注目度は急速に高まっている。
タイ工業省は6月にベトナムを訪問。現地の経済状況や製造業界の調査を終え、今後ベトナムへの進出を図るタイ企業や投資家への支援を行うと発表した。同省のソムチャイ副大臣は、「ベトナムにはすでに大企業が進出しているが、サプライチェーンを求める中小企業にとっても大きなビジネスチャンスが眠っている。今後さらに経済成長が見込め、投資先としても非常に期待できる」と、その潜在性を強調した。
ベトナムが高成長を続ける大きな要因は、2007年のWTO(世界貿易機関)加盟をはじめ、FTA(自由貿易協定)など各国間との積極的な協定締結による輸出入の大幅な増加だろう。今後、TPP(環太平洋経済連携協定)やEUとのFTA発効も控えている。
加えて、世界最大手「サムスングループ」の進出も大きな契機になったことは明らかだ。09年に携帯端末の製造工場を稼働させて以降、年々その規模は拡大。17年、ASEAN域外における輸出総額がタイを上回り、ASEANトップに躍り出る立役者となった(全体の輸出総額に占める同社の割合は2割超)。
一方、タイからは食品や小売事業を中心に展開する大手財閥「チャロン・ポカパン(CP)グループ」や百貨店の雄「セントラルグループ」、石油化学工業として名高い「TPC Vina – Plastic & Chemical」社など50を超える企業が進出。CPベトナム社のモンタリー社長は、「食品加工のための工場を増設し、今後はEコマースによる新たなサービスを展開する」と、さらなるビジネス拡大を語る。
タイ政府の思惑としては、ベトナムへの好意を強調しつつ、見返りとしてタイへの投資を促したいところか。タイ国内の人件費高騰により周辺国への進出を図る日系企業にとっても、ベトナムの動向は気になるところだろう。追加情報に期待だ。