長谷場:先週に引き続き給料のお話です。例えばバンコクの現在の最低賃金は1日あたり325バーツです。そこで質問です。バンコクで働くサラリーマンの最低月給はいくらでしょうか?
ミィ:お? 今週もクイズですね。えーっと。土日が休みだとして、20日をかけて…、6500バーツ! 2週続けて正解! イェイ!
長谷場:ブッブー、残念でしたー。実は日雇い労働者であれば働いた日だけをカウントすればいいのですが、サラリーマンの場合には30日をかけて9,650バーツなんです。
ミィ:えー? ひっかけもんだーい。ひどぉーい。
長谷場:タイは「月給制の場合、休みの日を含めて基本給が発生している」という考え方なんです。面白いのは28日しかない2月や31日ある月も全ての月で30日で計算することになっています。
ミィ:毎月違うと混乱しますからね。
長谷場:そうですね。この「休日も基本給が出ている」ということが大きく影響するのが、いわゆる残業や休日出勤についてです。
ミィ:残業手当ですね。
長谷場:残業(時間外労働)、休日労働、休日時間外労働の賃金割合は表のように定められています。
ミィ:えー。よくわからないです。
長谷場:そうですよね…、解説しますね。
仮に1時間あたりの給料を100とすると、平日の残業代は150(1.5倍)以上もらえます。ところが休日に出勤しても追加でもらえるのは100しかないんです。まぁ、経営者が良ければ100以上払ってもいいのですが。
ミィ:えー。休日出勤したのに、どうしてー?
長谷場:ここに「休日も基本給が出ている」ということの意味があります。休日であっても既に基本となる100は払われているので、上乗せは100だけでいい、ということになります。
ミィ:なるほど、既にもらっている基本の100に実際に働いた分の100を足して200をもらっている、ということですね!
長谷場:はい。そういうことです。ところが、休日の残業時間にはベースとなっていた100がありません。残業なので、平日の時と同じで1.5倍なのですが、元々が100に100の上乗せで200の1.5倍になるので300もらえることになります。
ミィ:すごーい! 休日の残業はすごくお得!
長谷場:ということなので、従業員の立場からしたら「できるだけ、休日に残業したい」、経営者の立場からしたら「休日出勤はあっても残業はすごい経費になるから避けたい」。このせめぎ合いなんです。
ミィ:立場が違うと利害がぶつかりますね。
長谷場:ところがこのようなルールになっていると面白いことが起こります。経営者からしたら「平日に週8時間残業してもらって150×8時間(1200)を払うより、休日出社してもらって勤務時間内(通常は8時間)に終わらせたほうが経費は800にしか増えないので、少なくて済む」、という不思議なことが起こるんです。
ミィ:そう考えると不思議なルールですね。
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