トランス脂肪酸含有食品規制へ

来年1月から施行

安価で入手容易なことから、20世紀初頭よりバターの代替品として世界に広がったトランス脂肪酸(トランス型不飽和脂肪酸)。他の油脂に比べて腐りにくい一方、悪玉LDLコレステロールの増加、心疾患や脳卒中といった疾患のリスクを高めるなど、以前から健康への悪影響が指摘されていた。

そして、今年5月。ついに世界保健機関(WHO)は、2019年からの5カ年計画「REPLACE」を発表。食品供給源の見直しや健康的な油脂の利用促進、法制化など世界的な根絶に向けた計画を明らかにした。また、南アジア諸国ではトランス脂肪酸の摂取量が他地域に比べ多く、トランス脂肪酸による死亡リスクが極めて高いことについても言及した。

前述を受け、タイ保健省は7月13日、トランス脂肪酸を含む部分水素添加油脂(PHOs)を使用した食品の製造・輸入販売を、180日後の19年1月9日から全面的に禁止すると発表。タイ食品医薬品承認局(FDA)のワンチャイ事務局長は、トランス脂肪酸の概要や健康被害などを説明したうえで、「製造段階でトランス脂肪酸を多く含むショートニングやマーガリンを多用するケーキやドーナツなどのお菓子、フライドポテトやナゲットといった揚げ物などの食品は避けるように」と国民へ喚起した。FDAによると、すでに大手食品メーカーでは対応準備ができており、さほど影響を受けない見通しだ。

WHOによると、年間50万人以上がトランス脂肪酸の過剰摂取による心疾患で命を落としているという。ヨーロッパでは、デンマークが03年に法規制を世界で初めて定めたのを筆頭に、スイスやノルウェーなど欧州5カ国以上で法規制が設置。アメリカでは、18年6月以降原則禁止という法規制が3年前に下されていた。日本は11年に消費者庁が「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」を公表しているものの、現時点では表示統一などの法規制はなされていない。近年ジムやランニングなど、空前のヘルスブームが到来するタイ。この勢いに乗り、トランス脂肪酸が撲滅になることを祈る。

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