長谷場:今回は3空港接続鉄道の起点・終点となるラヨーン県のウタパオ空港の話です。
ミィ:まだ、利用したことないんですよね〜。
長谷場:ウタパオ空港は海軍の空港なのですが、民間航空会社の離発着用にも開放してきたという経緯があります。現在、ウタパオ空港は格安航空会社(LCC)を中心に使われています。国際線もあるのですがパタヤに近いので利用者のほとんどは観光目的かなと。
ミィ:いきなりパタヤ! イェイ!
長谷場:空港には滑走路とターミナルビルが必要ですよね。ウタパオ空港は軍用空港だったので、滑走路はかなり充実した長さと幅(長さ3500メートル、幅60メートル)のものが既にありました。2017年に2階建ての第2ターミナルを建設して、年間300万人まで受け入られるようにしたんです。
ミィ:多くの人が利用可能になったんですね。
長谷場:この第2ターミナルの建設途中でEECの計画が持ち上がり、さらに大開発を進めることになりました。計画ではもう一本滑走路を追加して2本とし、滑走路の間に(第2ターミナルとは別に)巨大なターミナルビルを建設します。前回、説明した高速鉄道はこの滑走路の間にあるターミナルビルに乗り入れることになります。
ミィ:スワンナプーム空港みたいですね。
長谷場:はい。年間6千万人の乗客が利用できるようになるという規模も、ほぼ現在のスワンナプーム空港と同じです。
ミィ:そんなに多くの人がパタヤに来るの?
長谷場:その疑問は置いておいて、この空港にはもう一つの顔があります。それは「航空機の修理基地となる」ということです。
長谷場:17年に運航されていた100席以上あるジェット機は2万機ちょっとだったのですが20年後の37年に4万機前後になると予想されています。
ミィ:あっ! LCCですね。多くの人が飛行機を利用するようになって、数も増えているんですね。
長谷場:そう、飛行機が増えると、当然修理する場所が必要になってきます。
航空機の修理基地のことをメンテナンス(Maintenance)、修理(Repair)、オーバーホール(Overhaul)の頭文字をとってMROセンターと呼んでいます。でも、飛行機を修理するには修理場(MRO)に行き来するための滑走路に加えて、多くの飛行機を止めることができる土地が必要になります。しかも滑走路とMROは誘導路でつながっていないと、飛行機がMROまで行けません。ようするに・・・。
ミィ:ものすご~く広い、まとまった土地が必要。ということですね。
長谷場:そうなんです。ウタパオ空港の周辺は海軍の土地になっていて、1040ヘクタール(10.4㎢)という広大な土地があったんです。そこに目を付けたタイ政府がMROセンターにしようと考えたわけです。
ミィ:それで大きな空港になるんですね。安心して飛行機を利用できますね。
長谷場:プロジェクトの全体は図のようになるのですが、第2滑走路、第3ターミナル、MROセンター、航空関連のトレーニングセンター、フリー・トレード・ゾーン(自由貿易区)などが計画されています。総額2,000億バーツの投資を見込んでいるのですが、この開発も官民連携(Public Private Partnership :PPP)で進めることになっていて、これから入札のための詳細な条件が提示される予定です。
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