親子が集い、語らえる場を 子育てサポーター「BAMBI」

夫の仕事に伴い、右も左もわからないまま始まったケイン明子さんの
タイ生活。1歳の子どもと一緒に行ける場所を求め、見つけたのが
「BAMBI(バンビ)」でした。昨年、その代表に就任したケインさんが抱く想いとは。

1982年の創設から、タイに暮らす外国人親子のサポートを続けてきた「Bangkok Mothers & Babies International(通称BAMBI)」。学校や幼稚園などと連携をとり、プレイグループと呼ばれる“親子が集える場”を提供しています。ケインさんは、来タイ直後の2010年に初めてBAMBIに参加し、運営メンバーになろうと決意。「生涯の友と言える相手に出逢ったことで、タイ生活が一気に楽しくなりました。そんな出逢いをくれたBAMBIで、私みたいにタイに来たばかりで何をしていいかわからない人たちの手助けをしたいと思ったんです」。

当時、BAMBIの日本人ボランティアはたったの2人。ケインさんは自分が日本人の入り口になろうと、多国籍な運営メンバーに飛び込み、活動を始めました。その想いは衰えることなく、昨年には運営代表に就任。「こんな場所があれば」という自らの理想をカタチにするため、動き出します。そのひとつが、“毎日”プレイグループを提供すること。「お母さんたちは、毎日何をしようかと行き場に悩んでいます。だからこそ、毎日オープンすることが重要でした」。それまでの週3日から一転、協力者やボランティアを増やし、今ではスクンビットやシーロム、パタヤなどさまざまなエリアで、日常的にプレイグループを開催。その想いに比例するように、代表就任から1年で会員の数は700家族から1200家族へ、運営メンバーは40人から80人へと増えていきました。

BAMBIでの国籍を越えた出逢いによって、自分の価値観が大きく変わるきっかけに

みんなを喜ばせたい。
その笑顔が、私の活力に

次々と新たな場を開拓してきたケインさんは、過去にひとつもなかったというホテルへの交渉にも挑んでいきます。「ホテルは設備が充実していますし、お母さんたちにとって憧れ。なかなかOKが出なかった時に、やりましょうと言ってくれたのがノボテル・ホテルさんでした」。

毎週1回、簡単な飲食と共にキッズプール付きのプレイルームを開放。さらに、同グループのソフィテル・ホテルも賛同し、シェフによるチョコレートワークショップを開催するなど、プレイグループを超えた密度の濃い場を展開していきます。

「プレイグループは、基本的には場を提供することなんですが、私はもっと楽しんでほしいと思う性格で。毎回は無理ですが、季節ごとのパーティーや水泳・サッカー・テニスの講師を招いたイベントなども同時に行っています。それができるのも、BAMBIに賛同してくれる方々がいてくれるからこそ。これからも新しい楽しみ、実りある時間を提供していきたいです」と、芯のある声を響かせます。

代表の任期は2年。ケインさんは子どもの有無を飛び超えた交流の場も作っていきたいと言い、その一歩として、子どもが自分の手を離れた母親、父親を含めたすべての人に向けて、バッグ作りやベンジャロン焼きの絵付けといった体験教室「Me-Time」を提案。また、父親や小学生を対象にしたプレイグループの開催など、活動の幅を広げています。

やりたいことは尽きないというケインさんですが、その原動力はどこに――?

「どんなに疲れている時でも、子どもたちがプレイグループにやってきて、パッと顔を輝かせる瞬間を見ると、『よし、もっと頑張ろう!』という気持ちになっちゃうんです。こんな自分に気づけたのも、BAMBIのおかげですね」。やるならトコトン。みんなを喜ばせたいという気持ちが、今日もケインさんを前に向かわせます。


PROFILE
ケイン 明子
Akiko Cayne
三重県出身。外資証券会社に10年以上勤務した後、出産を経て2010年来タイ。同年、「BAMBI」のボランティアを始め、17年より代表(Chairwoman)を務める。イベント企画、プレイグループの新設、新しいプロジェクトの立ち上げに日々奔走。今の癒やしは鍼。タイの好きなところは、子どもに優しいところ。


BAMBI
創設37年目に突入
参加者もボランティアも募集中
「CHILDBIRTH & BREAST FEEDING FOUNDATION OF THAILAND」
内のプロジェクトとして活動する、非営利ボランティア団体。平日のプレイグループ、週末イベント、大人のワークショップ、産前・産後のお話し会など幅広く展開。詳細はお気軽に下記まで。
[問い合わせ]
Website:www.bambiweb.org
E-mail:chairwoman@bambiweb.org
Facebook:BAMBI Bangkok Mothers and Babies International


編集部より
「子育てに関わらず、思い悩んでいる人の心がBAMBIを通して少しでも軽くなれば」と最後に話してくれたケインさん。利用者はもちろん、ボランティア側もイキイキと表情に変わると教えてくれました


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