勢い増すデジタル広告

デジタル広告支出、前年比21%増の見込み

インターネットが日常化し、デジタルメディアが普及する昨今。幅広い発信力と効率的な消費者フィードバックを求めて、デジタル広告への移行を加速させる企業が急増中だ。

「タイ広告協会(DAAT)」とリサーチ会社「KANTAR TNS」はこのほど、上半期の統計を元に、2018年のデジタル広告の支出予測を発表。これによると、今年は主要産業の全体を通して、前年比21%増の149億B(約518億円)となる見通し。予測数値の公表を始めた15年から4年連続の右肩上がりで、タイのデジ
タルマーケティングの急成長ぶりを反映する結果となった。

業界別では、全体の12%を占める自動車業界がトップで、総額17億2,200万B(見込み)。続いて、通信、美容関連、銀行、非アルコール飲料業界などがランクインした。また、7位の不動産業界はシェア率こそ全体の4%と振るわないものの、伸び率は前年比124%増と大幅な上昇。同業界がポスターやチラシといったアナログ媒体からデジタル広告への過渡期真っ只中であることが伺える。

タイでデジタルマーケティング事業を展開する「Reprise Media」のスパラークMDは、「近年はとりわけ、細やかな顧客サービスが求められる銀行や保険、不動産などのビジネスシーンでデジタル広告の需要が増えつつある。これは企業やブランドのイメージ戦略に対する費用対効果が高く、迅速かつ正確なフィードバックを得られるデジタル広告の特徴によるものだ」と現状を分析。その上で、今後の課題について「タイのデジタルマーケティングはまだまだ発展途上。この分野で活躍できる人員が不足しており、エージェンシー間の人材争いの激化が予想される」と指摘。エキスパート人材の確保や育成が急務であるとの認識を示した。

同市場の勢いは、今後しばらく止まらないであろう。ただし、重要なのは消費者にとって有益な情報を効果的に提供し、その記憶に留めてもらえるかどうかだ。畑は違うが同業者として、今後の動向から目が離せない。

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