幾多の反対を乗り越え、2020年1月から適用
立法会議にて16日、土地や建物に課される土地家屋税(日本の固定資産税)の改正案が、“遂に”成立した。2014年のクーデター以降、経済格差の是正を掲げてきた軍事政権は、同税の導入を早々に表明。しかし、多くの資産家や富裕層から猛反発を受け、法案整備が棚上げになるなど、一進一退を繰り返してきたのだ。
ウィスット・シースパン副財務相は、「長きにわたり、土地家屋税の導入は議論されてきたが、成立まで至らなかった。今回は、偉大な一歩。さらなる国力強化の契機となるよう、運用していきたい。また同税の適用によって、これまで未使用だった土地が有効活用されることも期待したい」と展望を語った。
肝心の課税対象は、①農地②住宅地③商工業用地④未使用の土地に分けられる。農地では、地価5,000万バーツ未満の土地は免除され、それ以上に対しては5,000万バーツを差し引いた金額から0.01%を徴収。小規模経営の生産者は、徴収開始から3年間は軽減(免除)され、民間企業が運営する場合は地価に関係なく、初年度から0.01%が徴収されるという。住宅地では、1軒目に対しては5,000万バーツ未満の土地は免除され、それ以上に対しては5,000万バーツを差し引いた金額から0.02%を徴収。2軒目以降は、金額に関係なく0.02%が徴収されるという。商工業用地では、5,000万バーツ以上の土地に対しては0.3%、2億バーツ以上に対しては、2億バーツを差し引いた金額から0.4%を徴収。一方で、学校や病院、ゴルフ場等は最大90%の控除が認められる。未使用の土地では、地価の0.3〜3%が課され、未使用のままでいると3年ごとに0.3%上昇。土地開発局によると、現在タイ全土の土地は約4720万ヘクタールで、そのうち未使用は約3割にも達するという。
適用から4年で、100億バーツの税収を見込んでいるという財務省。激化する地域格差に対し、一石を投じられるか。水面下で進むであろう税収の行方にも、注視したい。