政府主導で観光マーケットにECを導入
急速にEC(電子商取引)が普及するタイ。シンガポールを拠点に東南アジア各国に展開する「LAZADA」を筆頭に、「PRICEZA」「KAIDEE」といったサイトが乱立し、タイのEC市場は百花繚乱状態。昨年1年間の国内EC取り引き総額は、前年比8.76%増の30億バーツ(約100億円)にも上るという。
電子商取引開発機構(Electronic Transactions Development Agency)によると、タイでは現在、人口の約5分の1に相当する1270万人がECサイトを利用。2021年には1390万人に達する見込みだというから、その勢いたるや留まることを知らない。
そんな市場拡大の波に乗るべく工業省は1月29日、中小企業や個人経営の支援を目的とした新たな事業計画を発表。同省はバンコク首都管理局(BMA)、タイ中小企業開発銀行(SME銀行)、タイ商工会議所大学(UTCC)と連携し、国内最大の観光マーケット「チャトチャック・ウィークエンド・マーケット」に店を構える約1万1500軒に対して、大手ショッピングサイト「SHOPEE」への加盟を推奨。ECを最大限に活用した販売向上を支援するという。これに伴い、SME銀行では同サイトの導入資金対策として、個々の経営者向けの優遇金利を提供。個人商店には月額0.42%、企業には0.25%の低金利で資金を融資するとした。
一方、この景気策の向かい風となるのが、今年1月に施行された「電子商取引税法」だ。同法によると、年間3000回以上または総額200万バーツ以上の金融取引を行うEC事業者は、高額課税の対象となる。同行のモンコン頭取もまた、「チャトチャックのEC化に全面的に取り組みたいが、同法が足枷となることが懸念される」と見解を述べた。
現在、タイのECサイト内で販売される商品の約8割が、海外製のモバイルアクセサリーやファッション関連の輸入品だという。中小ローカル企業の景気促進のためにも、チャトチャックのEC化を成功させ、モデルケースとなることを期待したいが、いかに。