夫婦として家族として、新たな一歩を踏み出す結婚式は、人生における重要な行事の一つ。そんな記念日を華やかに彩り、新婦の魅力を最大限に引き出すドレスを提案する、ミーシャこと美沙子さん。最高の輝きを引き出す方法とは。
シーロムの緑豊かな通りに面した、ウェディング・パーティードレス専門店「AUNCHALEE BOUTIQUE」。ここが美沙子さんの拠点であり、学生時代の友人との「将来、一緒にビジネスをやろう」という約束を叶えた場所です。
「もともとファッションが大好きでしたし、とにかく人に何かしてあげたい性格。理想のドレスを実現するためのお手伝いは、性に合っているんでしょうね」。ドレス製作に関わる基礎知識を学び、マネージャー兼プランナーとして、これまで延べ3000人以上にドレスを提案。10年目の今では、お店に入って来た瞬間に、その人にピッタリな一着が思い浮かぶまでに。
「第一に考えるのは、“その人らしさ”を最大限に引き出せるかどうか。結婚式当日が、人生でもっとも輝く1日になるように全力でサポートしています」。
上質な素材を揃え、顧客の要望に柔軟に応えられる高い技術を誇るブティックには、タイはもちろん近隣諸国や欧米からの訪問者も。美沙子さんは一人ひとりに対し、「悩むのは当たり前。時間をかけて、じっくり決めてください」と声をかけているのだそう。それは過去に、ドレス選びに失敗した人がいたからこその言葉でした。「初めてウェディングドレスを着たら、誰でも舞い上がってしまうもの。即決して後悔してほしくないので、その場で決められた方にも、『家に帰って、ゆっくり考えてからお返事をください』と伝えています。笑顔で、ドレスに袖を通してほしいですから」と、凛とした声を響かせます。
ウェディングドレスに加え、パーティードレスやスーツ、既製品まで幅広く取り扱う「AUNCHALEE」
タイは枝術・価格・質ともに世界屈指のオーダーメイド国
高額なウェディングドレスは、“ハレの日”を演出するための特別な買い物。そんな場に立ち会う美沙子さんは、ドレスプランナーとして“人間関係”がもっとも大切だと実感を込めます。特にオーダーメイドの場合、生地の選定やデザインの打ち合わせ、縫製、フィッティングなど平均で3〜4カ月、長い人では1年にも及ぶ付き合いになることも。美沙子さんは依頼者を、「スタッフと顧客という枠を越えた、最高の結婚式を目指して一緒に歩む同志」と表現。「完成まで何度も顔を合わせるからこそ、何でも相談できる関係性じゃないと途中で息切れしちゃいますし、落ち込んでいる時には、前を向いて楽しく歩けるよう寄り添うことが、プランナーとしての根幹なのかなと、年月を重ねて感じるようになりました」。
同時に、タイに息づくオーダーメイド文化の素晴らしさを美沙子さんは実感。世界中から集まる上質な生地やレースといった素材の豊富さ、縫製をはじめとした精緻な技術、他国では考えられない手頃な価格、じっくりと時間をかけて作り込める環境は、世界広しと言えどタイしかないと言葉に力を込めます。
「多くの素材が集まると同時に、確かな技術が備わっているからこそ、さまざまな希望を叶えられるのがタイです。例えば、欧風なウェディングドレスに、タイの伝統衣装や模様、エスニック要素を取り入れるのも楽しみ方の一つ。特別感が増し、よりモダンでよりユニークな、世界に一つだけのドレスになる。一人でも多くの方に、この文化を楽しんでほしいですね」。
打ち合わせやフィッティングを含めた濃密な時間が、ウェディングの記憶にも色濃く刻まれるドレス作り。二人三脚から生まれる、袖を通した花嫁をより一層輝かせる一着を求めて、美沙子さんのもとには、今日も“同志”が訪れます。
PROFILE
斎藤 美沙子
Misako Saito
1984年、バーレーン生まれ。3〜5歳まで日本で暮らし。その後、父親の仕事に伴い、イギリスに4年在住。94年より、家族と共に渡タイ。ホテル勤務を経た2009年、同店マネージャーに就任。タイをはじめ、アジア、欧米、中東など幅広い顧客を持つ。在タイ歴26年。リフレッシュ方法は、愛犬との触れ合い。タイの好きなところは、ポジティブさ。愛称は「ミーシャ」。
AUNCHALEE BOUTIQUE
ウェディングからパーティードレス、スーツまで対応致します
BTSサラデーン駅から徒歩10分の場所にあるサラデーン店と、マンダリンオリエンタルホテルのショップングビルG階の2店舗を展開。綿密な打ち合わせから、皆さんの理想の一着を製作します。
[問い合わせ]
サラデーン店
Address:23/13-14 YJA Bldg., Sala Daeng Soi 1, Silom
Tel:081-808-1915(ミーシャ)
Facebook: Aunchalee Boutique
編集部より
取材当日、眩しい笑顔で迎えてくれた美沙子さん。快活な口調でこれまでを振り返り、ドレスに対する想いを語るその真摯な姿に、多くの人がブティックに来る理由がわかった気がしました