タイの裏口入学
タイの教育現場で賄賂や汚職が常態化しているという。
タイ人に聞くと「昔から問題視されていますが、多発し過ぎて気にしていない」と現状を肯定する。
そんな中、国家汚職防止委員会(NCCC)は、このほど教育現場の賄賂撲滅に関する政策を内閣へ提出。
それを受けたタイ基礎教育委員会は、2019年度の高校入学に関する新たな募集条件を発表したが、それが正常化には程遠い内容だった。
NCCCは「いかなる場合でも賄賂を受け取ってはならない」と全面的な禁止を求めたが、同委員会は「一部は受け入れるが、残りはタイの昔からの風習もあるため承認出来ない」というのだ。
承認した条件は、受験で合格点に届かなかった学生、学校に寄付している親を持つ学生、協力関係にある学校の学生の3点。
これらに関しては、賄賂を受け取らないという。
一方で、「学校職員や関係者、学校への寄贈者に対して、金品の見返りに便宜を図ること」に関しては、“受け入れられない”として、禁止にもしないと言うから、もはや空いた口が塞がらない。
そんなタイの教育事情を切り取ったのが、 17年にタイ国内映画として年間興行収入第1位を記録した映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』だ。
タイの不透明で不公平な教育システム、賄賂問題を背景に、受験生がカンニングするという内容だった。
国が違えば、習慣は異なるもの。
だが、映画化の時点で、世論は正否を下していたのではないだろうか。