反軍政に痛恨の一撃。23日と24日は禁酒日
泣いても笑っても、8年ぶりとなるタイ総選挙は次の日曜日。現軍事政権を支持する親軍政と反軍政が争う構図となっているのは周知の通りだろう。そんな中、反軍政の急先鋒と言われるタクシン元首相派に大きな痛手となる事態が生じた。
選挙戦序盤で騒ぎとなったタクシン派のタイ国家維持党が、ワチラロンコン国王の姉のウボンラット王女を首相候補に擁立しようとした件で、国王が「不適切」と声明を発表。その後、選挙管理委員会がタイ憲法裁判所に同党の解党を申し立てていたが、憲法裁判所は3月7日に解党を命じた。
これに伴い、同党役員13人は今後10年間にわたり政治活動を禁じられる。タクシン派にとっては、当役員の政治活動禁止よりも、さらに厳しい状況に追い込まれた。
同派は、主軸のタイ貢献党と国家維持党の2党併せて多くの議席を獲得する戦略に出ていた。そのため、今回の下院選挙(定数500)では、小選挙区(350)のうち、貢献党が249選挙区に249人の候補者を擁立する一方で、国家維持党は174選挙区で174人を擁立。同区で重複候補者を出さずに挑んだ結果、今回の解党処分となり、国家維持党の比例区と小選挙区を併せた280人が出馬できなくなってしまった。
当然、タクシン派の獲得議席は大幅に減るのは確実だろう。ある識者も「これでタクシン派の過半数獲得は事実上不可能です」と予想する。
一部では、国家維持党の支援者が選挙当日「No」を示す×印を書いて投票することで、当選者の得票数が「No」を下回った場合の再選挙を狙うという噂もあるが、現実的ではない。
さらに、国家維持党支持者の票が、同党に近い存在の新未来党に流れる可能性もあるというが、国民の是非は今週の日曜に判明する。余談だが、タイでは選挙前日の18時から当日(終日)は禁酒日となり、酒類を購入することも店内での飲酒もできない。