親軍政か、反軍政か。終わらないタイ総選挙
3月24日、8年ぶりとなるタイの総選挙が実施。2014年から続く軍事政権から民政復帰に向けた転換期となるはずだった。
ところが、蓋を開けてみると即日開票のはずの選挙結果が未だに判明していない。今回の下院議員選挙は定数500議席(小選挙区350/比例150)で争われたが、27日現在では小選挙区の結果しか出ていない。
最も議席を獲得したは、反軍政の急先鋒と言われたタクシン元首相派のタイ貢献党137議席。次いで現軍政のプラユット暫定首相も所属する国民国家の力党97議席、タクシン派から寝返ったタイ誇り党39議席、反タクシン派の民主党33議席、若年層から多くの支持を受けた反軍政を掲げる新未来党30議席と続いた。
比例議席に関係する得票数は、トップが国民国家の力党843万票、続いてタイ貢献党792万票、新未来党626万票、民主党395万票、タイ誇り党373万票だそうだ。選挙管理委員会は公式結果は5月9日になると発表した。
ちなみに、比例制度は各党の得票率に応じて下院全議席を割り振る仕組みで、小選挙区で割り当て分の議席数を上回ると比例代表の議席が得られなくなるという、複雑な仕組み。
注目の首相選出は、現憲法で上下院合わせた750議席のうち過半数以上が必要とされる。ただし、上院議員250議席の選出方法は、事実上、現軍政が選べるため、今選挙で126議席を得られれば現首相を続投できる。とはいえ、下院で過半数を獲得できなければ、重要法案を通せず、内閣不信任案を可決させられ短命に終わる可能性もある。
そのため、各党は多数派工作に乗り出すが、先手を打ったのは反軍政だった。タイ貢献党や新未来党ら7党は、「民主戦線」を結成し、新政権樹立を目指すことを表明。7党合わせると、253議席を確保でき、政権を獲得できる見通しだという。果たして、次期政権はいつ、どう決まるのだろうか。