政府が遂にHIV検査キットの販売を容認 感染蔓延に歯止めをかける起爆剤となるか
ひと昔前は「死を招く不治の病」と恐れられたエイズ。昨今、同病を患った伝説的ロックスターの生涯を描いた映画が大ヒットし、当時に思いを馳せた人も少なくないだろう。
エイズ発症を招く「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)」は、タイでも感染拡大の一途を辿っている。
主な要因は同性間の性的接触だが、自覚症状が乏しいのが難点。
タイでは1年に2回まで任意の無料検査を受けられるが、受診率は足踏み状態だ。
このような現状を打破するため、食品・薬品委員会事務局は4月9日、販売を禁止していたHIV検査キットの販売を承認すると発表。
同日、製造業者の登録を開始し、早ければ6月にも一般の薬局などに出回るという。
同キットは以前から製造されているが、精度の観点から流通には至らなかった経緯がある。
同局のスラチョーク副事務局長は 「疾病予防局やタイ赤十字社などと協議し、今回の販売に踏み切った。
HIVの自己検査にはWHOも賛同し、有意義な結果を期待できるはずだ」と、導入のメリットを語る。
一方、依然として精度には疑いの声も。
エイズ財団のアピワット代表は「HIV潜伏期間中に検査をしても判定は困難で、医療機関を受診する必要がある。
感染拡大を防ぐ糸口にはならない」と懸念を示している。
同キットは血液又は唾液を採取する2つのタイプ。
いずれも使用後は一般ゴミとして処理でき、価格は未定。
国民がどのように受け止めるのか、これから真価が問われるだろう。