母を殺したい娘と、娘に殺されると感じていた母 「塀の向こうにいる娘」に向けられる、母親の想いは…。
事件が起きたのは6月22日の夜。バンコク郊外で帰宅途中の女性が突然、38口径の拳銃で胸を撃たれた。
幸い女性は一命を取り留めたが、約1カ月半後、さらなる悲劇が襲う。
殺害依頼の容疑で逮捕されたのはなんと、最愛の一人娘だったのだ。
「母の日」目前の8月9日、警察は実行犯の男2人と殺害を依頼した女1人を逮捕したと発表。
女の名は被害者の実の娘ターイ(25)事件当時は祖母を含む3人暮らしだった。
調べに対し娘は、「母の遺産で恋人を釈放させたかった」と動機を供述。
事実、被害者は総額30万バーツの保険金と先祖代々の土地約8万㎡を有し、それらを相続できるのは娘のターイ容疑者ただ一人だった。
また、交際相手のキッティポン(30)は現在、麻薬売買の罪で服役中。
同容疑者と共謀して友人2人に殺害を依頼したと見られている。
世間は当初、このような愚行にさぞや驚いているだろうと哀れんだが、母親は自らが娘に殺害されることを予期していたという。
自宅の水筒内でアリが大量死しているなど、2度も不可解な事件に遭遇していたためだ。
しかし平静を装い、娘の動向を見守っていたのだという。
母のウアムドゥアンさんは「今はまだ娘に会いたくない。
今後のことは法の裁きに委ねる」としながらも、「こんなことをされても、自分の子どもを嫌いになる母親なんていない」と、娘への慈愛の想いを吐露した。
再び母の大きな愛に気付かされた娘は今後、どう償っていくのだろうか。