160バーツを盗んだ罪で、愛する母が逮捕された 子は母を責めつつも、共に歩んでいく道を選び…
現在、タイの貧困家庭数は124万世帯に上り、人口の約6.6%を占める。「福祉カード」などの対策も講じられるが、決して十分とは言えない。
都内バンスー地区のデパートで3日、54歳の女性が寺院への募金から現金160バーツを盗み取ったとして現行犯逮捕された。
女性には13歳と12歳の子どもがおり、動機について「子どもたちにご飯を食べさせる金が欲しかった」と供述しているという。
女性は夫と死別して以来、10年以上に渡り女手一つで子どもたちを育ててきた。
某飲食チェーンに勤め、日給は300バーツ。
痛風を患いながらも家計を支えてきた。
母の逮捕を知った息子は「貧しくても盗みはいけないと諭していた母がなぜ…」とやるせなさを滲ませた。
また、娘は悲嘆に暮れつつも「お母さんが寂しがるだろうから、私も一緒に逮捕してほしい」と涙ながらに警察に訴えた。
このような場合、通常5,000バーツの罰金または10日間の福祉活動が課せられる。
しかしインターネットを通じ事件の背景が拡散された現在、一家の元には多額の支援金が寄せられ、保釈金も賄われたという。
さらに、社会開発・人間安全保障省のジュティ大臣が母親に対し新たな仕事の斡旋などを約束した他、有志が月々3,000バーツの教育費を負担。
母親は涙ながらに感謝と反省の弁を述べ、「世間の善意を子どもたちの未来のために役立てたい」と語った。
人々の助けを受け、新たな一歩を踏み出した親子の前途が明るいものであることを願ってやまない。