37カ国中37位のタイが今、取り組むべき課題とは
人生100年時代に突入し、日本では「老後2,000万円問題」などが巷を騒がせている。
これは60歳以上の3人に一人が定年後も働かねばならない状況下にあるタイにおいても、決して他人事とは言えないだろう。
世界の経済や金融情報を配信する米国企業「ブルームバーグ」が20日、2019年度の「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(MMGPI)」の結果を公表した。
今年で11年目となる同調査は、アメリカ、中国、カナダといった世界人口のほぼ3分の2を擁する37カ国を対象に実施。
自国の年金制度が家計資産の改善に役立っているか、持続可能な制度設計か、国民の支持を得ているかなど40の指標をもとに比較検証が行われ、今年は新たにフィリピン、トルコ、そしてタイが追加された。
結果は1位にオランダ、続いてデンマークがランクインし、両国共に福利厚生の充実度でAランクを獲得。
日本はと言えば、制度の持続性の脆さを指摘され、31位のDランクとされた。
また、タイは福利厚生や老後の資産レベルの低さ、さらに低所得者層への支援不足などを理由に最下位に位置付けられている。
ここで閑話休題。
タイの公的年金制度についておさらいしよう。
現在、タイでは月ごとの年金を受給できるのは公務員のみで、民間企業の定年退職者には勤務年数と最終給与に基づいた退職金が支払われる。
民間企業向けの社会保障には妊娠、病気、死亡、老齢年金といったものがあるが、月ごとに受け取る金額は公務員の3分の1程度に留まるという。
タイの安全保障取引委員会(SEC)によると、定年後に平均的なゆとりを持って明るい老後をすごすためには、少なくとも一人400万B(約1,400万円)の資金が必要だとされている。
しかし現状では高齢者の約6割が100万B以下の財産しか蓄えておらず、「老後危機」に陥る人も少なくない。
こうした状況から労働局では今月中旬より全国1万8000人の受講目標を掲げて働ける高齢者のための職業訓練制度を導入したが、根本的解決にはならないとした否定的な声も後を絶たない。