収容キャパを大幅に超え、施設拡張が急務
タイ空港会社(AOT)は5日、主要6空港(スワンナプーム、ドンムアン、プーケット、チェンマイ、チェンライ、ハジャイ)を拡張し、年間の収容能力を計1億8000万人にまで引き上げる方針を発表した。
経済成長の減速が続く中、その大黒柱である観光分野においては旅行者数が右肩上がりに。
10月末にタイ中央銀行が発表した主要経済指標(速報値)によると、同月の外国人旅行者数は前年比10.1%の増加。
その理由として、昨年7月にプーケット島で発生した観光ボート転覆事故による中国人観光客の減少からの回復、到着ビザ手数料の免除対象となった中国やインド、台湾からの旅行者増、さらにデモなど政情不安が続く香港からタイに旅先を変更する動きなどが挙げられている。
AOTによると、現在6空港合わせた収容能力は1億100万人だが、すでに計1億4187万人と大きく上回っている状況だ。
中でも、スワンナプーム国際空港は収容能力が4500万人であるのに対し、4割超となる6500万人が利用しているという。
これは建設中のサテライトが完成しても収容能力は6000万人しか増えず、決して充分な対策とは言えない。
また、LCCが多数乗り入れるドンムアン空港も同様に、3000万人の収容可能数に対し4100万人を抱えるなど、大きな疲弊を招いている。
同方針では、6つの空港は2025年までに約1,900億B(約6,826億円)を投じて拡張され、スワンナプームにおいては3本目の滑走路と新たな旅客ターミナルも建設予定。
9000万人まで対応できるようになるという。
また、ドンムアン、プーケット、チェンマイの3空港においても新フェーズの開発計画が進んでいる。
今年、タイを訪れる外国人観光客数は4000万人に達すると見られ、観光収入も前年比8%以上の3兆1,000億Bに拡大すると予想。
これは国内総生産(GDP)の18~19%を占め、製造業の輸出減などの煽りを受ける中、稼ぎ頭である観光業へのテコ入れは当然とも言える。
バンコクに世界有数の巨大空港がお目見えする日も、そう遠くはないだろう。