「ヤマト工業団地」に台湾企業も熱視線か
チョンブリー県に位置する「ヤマト工業団地」。
その事業者向け用地の販売が、いよいよ2020年第2四半期(4〜6月)に始まる。
タイ初のスマートエレクトロニクスの生産拠点として、総投資額は220億バーツに上るとみられる。
産業高度化を目指す新経済戦略「タイランド4.0」において、スマートエレクトロニクスは重点産業の一つとされており、団地の完成によりこれらの生産が増えそうだ。
同団地は、2014年にタイ工業団地公社(IEAT)の開発許可を取得。
総面積は690ライ(約1100㎢)で、アメリカンビルダー社が運営する。
同社は現在18億バーツを投じて建設を進めており、土地の4割はエレクトロニクス産業、3割は次世代型自動車とその部品の工場用地として利用される予定だ。
投資家の誘致も同時に進行しているが、特に有望視されているのが台湾企業。
台湾政府が海外投資を支援しているのに加え、米中貿易摩擦の影響で中国から生産拠点をシフトする動きが各企業に出ているためだ。
今年1〜9月、台湾の投資家からの投資奨励申請は44件を数え、投資額は96億バーツと国別で4位。
去年は年間でも60億バーツに留まっており、投資額も10位だった。
注目は、台湾の大手コンピューターメーカー「クアンタ・コンピュータ」の動向だ。
フェイスブックやグーグル、マイクロソフトといった名立たる巨大IT企業に技術を提供する同社が今年、生産拠点をタイのチョンブリー県に移管したのだ。
同社は500社以上のサブコン会社を抱えており、それらの会社も今後タイに進出すると見込まれる。
そうなった時、同団地が受け皿になる可能性は高い。
また、タイは輸出におけるエレクトロニクス分野の収益が大きく、エアコンや洗濯機、電子レンジ、コンプレッサ、冷蔵庫、炊飯器の輸出額は世界トップ10に入るほどだ。
輸出国家のタイにとって、同団地がどのように機能するかが、経済発展の行く末を左右すると言っても過言ではない。