来年に向け、年末実施の景気刺激策を発動
国家経済社会開発庁(NESDC)が発表した、2019年第3四半期のGDP成長率は、前期の2.3%から0.1ポイント増加し、2.4%となった。
官民投資と個人消費の拡大が寄与したそうだ。
とはいえ、タイ経済は世界経済の減速、米中貿易戦争の長期化による輸出減などにより、19年通年の同成長率予測は2.7%から2.6%に下方修正されるなど、低迷の二文字からの脱却は遠い。
しかしながら、タイ政府も手をこまねいているわけではなく、11月26日、ウッタマ財務相は1,440億Bの資金を注入する3つの景気刺激策を発表。
「同成長率を2.8%まで押し上げる」と意気込む。具体的には、景気刺激効果があるとされる住宅の購入支援として、購入者に対して1人当たり5万B(頭金)を補助。
対象は月収10万Bまたは年収120万B以下で、最大10万人まで。
12月11日から来年3月31日まで登録を受け付ける。
2つ目が地方の低所得者支援を掲げ、全国7万1742の農村基金に対し、それぞれ最大20万Bの資金を繰り入れる。
資金は、コメ農家に関わる共同精米所や工場など関連施設の整備に充てられるという。また、農業・協同組合銀行(BAAC)は総額500億Bの3年間の年利0.01%という低利融資も行う。
これは、農村基金や農業共同組合向けで12月1日〜23年11月30日まで受け付ける。
さらに、同基金や組合員は、1年間の債務の返済も免除されるという。
最後は、19~20年に限り、コメの収穫作業費用の一部を補助する。1ライ(1600㎡)当たり500Bを補助。
ただし、1世帯当たりの上限は20ライまで。
会見で、ウッタマ財務相は「経営基盤が脆弱な農業や中小企業には支援が必要だ。
今後も経済状況を注意深く監視していくが、今回、年末に向けて実施される刺激策が、国民にとって新年への贈り物になればと思う」と説明。
タイに住む日本人としても、刺激策が景気に浮揚効果を発揮することを祈りたい。