祖母の想いを開花させた
タイ最古のフラワーショー
Managing Director
Naphaporn Bodiratnangkura (Lek)
ナパポーン・ポーティラッタナンクーン
いよいよ34回目を迎える国内最大級の花の祭典「ナイラート・フラワー &ガーデン・アートフェア」。そのイベント運営を手掛け、一族からタイ初の女性大臣を輩出するなど名門として知られる「ナイラート・グループ」。同財閥を率いる若きトップが描くビジョンとは。ナパポーンMDにインタビューした。
老舗財閥のご出身と伺いました
私はラマ6世の時代から続くナイラート家の4代目です。曽祖父のラート・セータブットはまだ馬車での移動が主流だった1910年に国内初のバス会社を設立。チャオプラヤー川を往来する船舶の運航事業をはじめ、学校や病院経営などさまざまなビジネスを手掛ける実業家でした。
現在のジャルンクルン通りに、タイ初となるタイ人経営のホテルを開業したのも、偉大な曽祖父の功績の一つです。また、女性で初めての運輸大臣を務めたラーサック・ソムバットシリ(ラーサック女史)は私の祖母にあたります。祖母はタイから日本への交換留学生の第一号でもあり、今から85年前の昭和9年に日本で家政学を学びました。「女性も高等教育を受けて社会に貢献するべき」という当時としては先進的な曽祖父の考えにより、祖母や母は私にもグローバルな教育を受ける機会を与えてくれました。
ご自身でも新たなビジネスを立ち上げていますね
ニューヨークで大好きなファッションについて学んだ後、家業を引き継ぐために22歳でタイに帰国しました。当初は母のもとでナイラート家が所有する「スイスホテル・ナイラートパーク・バンコク(現在閉業)」の経営に携わっていたのですが、若い私には右も左もわからないことばかり。毎日、鼻をへし折られるような思いをしていました(笑)そこで、祖母の強い勧めでシンガポールにある外資系ホテルに勤め、マネージメントやホスピタリティについて一から教わって、修行を積むことに。
この経験が私の人生の中で大きな転機となり、自らのビジネスを立ち上げ、2018年4月には英国基準のバトラーサービスを指導する新規プロジェクトを発足。ホテル経営者や事業者向けにさまざまな学びの機会を提供しています。
まもなく恒例のフラワーショーが開催されます
2020年1月30日〜2月2日に開催予定の「ナイラート・フラワー&ガーデン・アートフェア」は、尊敬する私の祖母が83年に立ち上げた「花とアート」をテーマにしたイベントです。今回で34回目の開催となりますが、おかげさまで“アジアで最も名誉あるフラワーショー”とのお褒めの言葉を頂戴し、例年多くの観光客の皆さんにご来場頂いています。麗しい英国式庭園に感銘を受けた祖母が、タイにも花が溢れる空間を広げたいと願って始めたこのイベント。
かつて一族が暮らし、家族の思い出がたくさん詰まった「ナイラート・パーク・ヘリテージ・ホーム・バンコク」を会場に、フラワーショーやワークショップ、技を競うコンペティションなどを実施しています。また、伝統技術の継承や後継者育成のためのプラットフォームでもあり、イベントの収益は国内の慈善財団などに寄付しています。
今回のイベントの見どころは?
私が主催して3年目となりますが、昨年は初めて屋外での展示を行い、とても好評でした。今回はより規模を広げて、アジア最大級を誇る総面積575㎡のフラワーカーペットを製作する予定。国内産の生花を贅沢にあしらったカーペットや色とりどりのシャンデリアはまさに圧巻の美しさですよ。
また、花とアートやグルメとのコラボレーションもハイライトの一つ。タイの伝統菓子や花を使ったランタン作りなどを体験できるワークショップの他、バラエティに富んだグルメを楽しめる屋台も出展しますので、ぜひお楽しみに。
今後の展望について
まずはフラワーショーの成功に向けて、私に出来る限りの努力をしていくつもりです。また、地域開発にも引き続き尽力していきます。
まずは22年を目処に、都内に新たなホテルを開業する予定です。さまざまな事業や経験を通して、私も祖母や母のように日々自分らしく、たおやかに成長していけたらと願っています。
Nai Lert Group
02-253-0123
4 Soi Somkid, Ploenchit Rd., Lumpini Pathumwan, Bangkok 10330
https://nailertgroup.com
1910年のタイ初のバス会社の設立を皮切りに、船舶の運航やホテル・住宅施設の経営、地域開発や観光事業など幅広くビジネスを展開する。