発足から5カ月、検索ワード1位の給付金政策も
プラユット首相が正式に就任してから約5カ月が経ち、まもなく2019年が終わろうとしている今、改めて同政権の政策を振り返る。
まずは、年収10万バーツ以下の低所得者層1450万人に対し、17年から実施している「福祉カード」の拡充。
8〜9月に1人200〜300バーツを給付したのに加え、60歳以上の高齢者には500バーツ、6歳以下の子どもを持つ家庭には300バーツを追加支給した。
数ある政策の中でも特に国民の関心を集めたのが、「シム・ショップ・シャイ」政策。
9月に政府発行のアプリ「PAOTUNG」を通じて、10万人にそれぞれ1,000バーツを支給したが、好評だったため、その後第3回まで実施された。
累計1178万人がアプリを利用し、給付総額は6億192万バーツに上る。
19年にグーグルで最も検索されたワードが同政策だったことからも、その注目度の高さが伺える。
低所得者層の支援はこれだけではない。
今年は干ばつなどで不作が相次いだが、農業者の収入を保証するためにパームやゴム、タピオカ、米の販売価格の下限を設定。
他にも、農村基金や農協に向けた超低利融資や、1年間の債務返済猶予なども実施された。
一方、都内在住者には都市交通の拡充施策が最も実感しやすいだろう。
BTSやMRTなど、バンコク都内に走る電車網計7線が延伸されることが決まり、そのうちMRTブルーラインはすでに完成。
来年はBTSスクンビットラインのモーチット〜クーコット駅間の延伸工事が完了する予定だ。
経済成長の起爆剤として期待されるのは、ウタパオ、ドンムアン、スワンナプームの3空港を結ぶ高速鉄道の計画だ。
11月初旬にチャロン・ポカパン(CP)グループを中心とする企業連合と正式に契約を結び、2,245億バーツの建設費を投じて24年の完成を目指す。
低所得者層向けの政策が目立つ中、来年はいかに中間層以上の支持を掴むかが政権存続の命運を握りそうだ。
そのためにも、経済発展や治安維持などを通じて国民全体の幸福度を高めていくことが求められる。