MS & Consulting (THAILAND)「飽和市場ではサービスが命綱に」 古川 健

「飽和市場ではサービスが命綱に」

《プロフィール》
代表取締役社長
古川 健
ふるかわ・けん
■1980年生まれ。早稲田大学卒業後、2003年にコンサルティング会社へ入社。08年、MSコンサル事業分社・独立に伴い設立したMS&Consultingに転籍。新規事業企画、海外事業立ち上げなどを手掛け、16年1月より現職。
■座右の銘:動機善なりや、私心なかりしか
■愛読書:人を動かす(デール カーネギー)
■趣味:店鋪巡り、読書、テニス
■尊敬する人:これまで海外市場を開拓してきた日本の製造業者
■バンコクの行きつけの店:らあめん亭、銀座堂


覆面調査とはどのようなものですか

端的にいうと、クライアントの店舗に当社の一般モニターを派遣し、サービス品質などを評価するというものです。例えば飲食店の場合、あいさつ時に来店者の目を見ていたか、従業員同士の私語で対応に遅れがないか、細かい気配りがあるかなどですね。車の販売店では、今所有している車の使用状況や家族構成などの聞き取りはあったか、そのヒアリングに沿った適切な提案がなされたかなどを見ます。クライアントの要望次第では、競合相手の名前を出してみたり、少し難易度の高い要望への対応力を測ったりすることもあります。

 

このように、調査は当社の20年のノウハウを生かして業種や業態、顧客の戦略などによって設計します。中でも特徴的なのは、モニターの「主観」を重視していることでしょう。具体的には、モニターが「また来たい」「買いたい」と思えたかなどですね。やはりサービスを受けるのは“人”ですので、“心”を重視しています。そうやって店の魅力や改善点を利用者の視点であぶり出し、本部や店にフィードバックします。

 

調査結果は従業員のスキルアップやサービス品質の向上に役立ててもらっています。こうした説明をすると、どうも店のあら探しをしているように聞こえるかもしれません。改善点は治すのに越したことはありませんが、それ以上に「長所や他店にはない魅力を伸ばす」ことを重視します。強みを伸ばすアプローチは従業員のモチベーションアップにも繋がります。

 

経営判断の良い材料になりそうです

そう言ってもらえるとありがたいですね。調査結果は現場におけるオペレーションのダイレクトな課題に結びつき、コンバージョン率やリピート率を高める材料となりますから、当社の事業はサービス業界で生産性の向上にも役立つと自負しております。特にあらゆる業界でマーケットが飽和している現代において、サービス品質を高めることはより重要になっていると考えられます。飲食店を例に出すと、ひと昔前は店自体が少なかったですから、立地や価格、味だけで行く店を決めていたと思います。

 

しかし、最近はどの店もレベルが高い。相変わらず、立地・価格・味(商品)が選択理由になる比率は高いですが、サービスも商品の価値を決める重要な要素であることは疑いようがありません。サービスのいかんによっては、料理が美味しくも不味くもなってしまうからです。しかし、いざサービス品質を高めようとしても、後回しになりがちだと思います。ただ、しっかりと改善していけば、販売力も伸びますし、利用者との関係性も強化できます。当社は、リサーチだけでなく、調査結果を活用し、サービスを改善するコンサルティングも提供しています。

 

一般的なコンサルティング事業とは毛色が異なるように思います

そうかもしれません。1つ特徴を挙げると、当社のコンサル事業はリピート率が9割以上にも達しています。これはコンサルティング会社としては異例なんです。それゆえに顧客と長期的に、深いお付き合いができるので、私自身、この仕事が好きです。クライアントの信頼を積み重ねていくことは簡単ではないですが、とてもやりがいを感じます。

 

日本で成長を続ける中、4年前にタイへ進出したのはなぜでしょうか

確かに日本では業績を伸ばしていますが、この成長が続くとも限りません。私が日本に居た時は、新規事業の企画に注力し、常に付加価値を高めるような新たなサービスを模索していました。そんな中、タイで先に事業を行っている方の話を聞いて、海外事業の可能性を直感的に感じたのです。すぐに役員を説得し、その1年後の16年1月に現地法人の立ち上げにこぎつけることができました。

 

現在はタイのローカルチェーンの仕事が中心で、日系のサービス業には日本ほど知名度が高くないのが現状です。意外かもしれませんが、覆面調査自体は数千Bでできるので、今後はもっと日本食レストランの皆さまにも活用頂ければ幸いです。

 

サービス品質を競う「SME Hotel Service Quality Award」も4年間共催

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