「知的財産はビジネスの武器防具!模倣品流通の実態Part2」 – 知財・模倣対策の プロ講座!第7回

加藤 範久 - 日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所 知的財産部長

日本貿易振興機構(JETRO)

バンコク事務所 知的財産部長 加藤 範久 Kato Norihisa

2003年特許庁入庁。特許審査官として、土木、アミューズメント分野の特許出願の審査に従事。2017年10月より現職。

 

屋台や市場で気軽に購入できる
そのブランド品は本物ですか?



バンコクの街角に並ぶ屋台や市場、中にはショッピングセンターでも模倣品は売られているのが現状です。

商品は、Tシャツや洋服類から、バッグ、靴、腕時計など様々。

信号待ちしているときに「ロレックス、タグホイヤーあるよ。

安いよ」と腕時計を見せられ声を掛けられたことはありませんか? ローカル市場でブランドTシャツは100バーツ(約350円)と破格で売られています。

当然、値段と見合わないモノの多くが模倣品です。

しかも、同じ模倣品でもグレードがあり、素人では見分けがつかない商品も多いのが現状です。

ちなみに、模倣品の価格は、医薬品や化粧品だと、本物の約15%、電気製品だと約5%、バッグは約1%、腕時計は約0.3%というデータもあります。




模倣品を買うことによる三大リスク

では、模倣品を買うことはなぜ問題なのか-より身近なリスクを説明しましょう!



「消費者の人身・健康に与えるリスク」というのは、非常に分かりやすく深刻です。

2019年にはタイの高校生がサプリメントの模倣品を服用して死亡した事件もあったほか、美容・健康サプリや食品類では死亡または、健康を害することが頻繁に起こっています。

次に、ビジネス上のリスク。

これは、前回説明したような海賊版ソフトウェアを利用してPC全体がコンピュータウィルスに感染。

顧客情報が流出するというようなリスクです。

最後に、社会に与える間接的リスクというものもあります。

一般的には、模倣品を製造している多くは、反社会的組織だと言われています。

武器取引、麻薬取引、売春等の犯罪行為によって利益を得ている集団がビジネスの一つとして模倣品の製造も行っていると言われています。

模倣品を購入することは、そのような反社会的組織に資金提供していることになってしまうわけです。

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