稼ぎ頭の観光業が不振の中、成長産業に期待かかる
新型コロナウイルス「COVID-19」が世界経済に深刻な影響を与えている。
その感染力の強さを危険視し、国内外でイベントを中止・延期するケースが続出。
さらに、国や企業が呼びかけている海外渡航規制や、国民の間で漂う自粛ムードも相まって、とりわけ観光業が大きな打撃を被っている。
無論、世界有数の観光大国であるタイも例外ではない。
報道によると、1月1日〜2月20日の間、タイ旅行業協会に所属する会社を利用した旅行者数は前年同期比4割減の約50万人だったという。
この現状を受けて、タイ国政府観光庁は今年の外国人旅客数の目標値を、従来の約3600万人から約3300万人に下方修正。
昨年より1割少ない水準となり、観光業の苦戦は避けられないとの見方を示す。
暗い話題が影を落とす一方、「経済復興の鍵」として脚光を浴びるのが「不動産業」。
政府系住宅銀行チェアマンのパリンヤー氏は2月25日に開いた国内最大の不動産セミナーで、タイの不動産価値総額は同日時点で4兆Bに上り、国内総生産(GDP)の8〜10%を占めると説明。
2019年には不動産価値が4.3%増加したと、順調ぶりを強調する。
もちろん、コンドミニアムは供給過剰感が強く、固定資産税も導入されるなど、不動産業界に逆風が吹いているとの意見もある。
しかし、タイ商工会議所大学学長のタナワット氏は「シボレーの大幅値下げで多くの人がショールームに殺到したことからわかるように、タイ人はお金を持っているが、使うきっかけがないと財布の紐を固める傾向がある。
不動産市場も、金利の引き下げやLTV(物件の資産価値に対する負債の割合)の規制緩和などの対策を講じれば、一層拡大するはずだ」とさらなる成長の可能性を示唆した。
あまり期待しすぎると不動産バブルの様相を呈し、さらなる経済低迷のリスクとなる。
諸刃の剣ではあるが、不動産市場をうまく活性化させることができれば、経済低迷の突破口となり得るだろう。