延期という未曽有の事態となった今年のソンクラン。 外出自粛の中、国民は何をしていたのか。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今年のソンクラン(水掛け祭り)の延期が発表されたのは3月16日のこと。多くの国民は覚悟していたところもあるだろうが、年に一度の祭りの延期に寂しさは否めない。
この時期、タイ人は故郷に帰省し、家族で寺院に参り仏像や仏塔を洗い清めたり、家族の年長者らの手に水を掛けて清めたりといった新年を迎えるための伝統的な風習に則るのが通例だ。
また近年は、各地で行われる賑やかな水掛けイベントに参戦するのが主流となっているが、今年は…? バンコクでは、規制により実家に帰ることができない地方出身者が続出。
オンライン上で家族や友人との会話を楽しむ人が多かったという。
利用されるアプリは、これまでLINEやFacetime、Skypeが定番だったが、最近では「TikTok」や「Zoom」の人気が急上昇。
ソンクラン専用の装飾ができる「ソンクランフィルター」を使って画面上で水を掛け合ったり、鮮やかな衣装を纏って陽気なダンスを踊ったりと思わず笑みがこぼれる動画がSNS上を駆け巡った。
また、ネット上には無料で参拝できる特設サイト“バーチャル寺院”も出現。
花やロウソクを捧げたり、祈りを送ることができるとあって、鬱屈した心も少なからず晴れやかになったことだろう。
コロナ禍にあっても、現状の中から楽しみを見つけるタイ人の精神は健在だ。
ソンクランの振り替え候補は7月と噂されているが、定かではない。
何かを待つのではなく今を前向きに、そして“アフター・コロナ”に備えたい。