世界的な需要増を見据え、8年計画を発表
タイ政府は4月29日、国内の食品加工業における2020~23年度予算として、66億Bを投じると発表した。これは、工業省が昨年11月に提案した2019~27年の食品加工・開発計画に沿ったもの。
タイが誇る米や穀物、青果といった農産物の輸出に加えて、“未来食”ともいえる新たな加工食品の開発・輸出拡大を27年までに目指すという。
これに伴い、工業省のスリヤ大臣はこのほど、以下4つの指針を公表。
①食品加工業のスペシャリスト育成 ②食品加工の技術開発 ③新たな投資ビジネスの確立 ④工業インフラの開発を軸に、国として全面的に支援していくことを宣言した。
①では、ヘルス・ウェルネス分野をはじめ、生産業全体における人材育成をサポート。
同時に、最新技術を用いた自動化やIT化を段階的に進めていくという。
②では食品加工に関わる知識を蓄積・継承するための「食品加工センター(Food IndustrialTransforma -tion Center)」や、研究施設「未来食品ラボラトリー(FutureFood Lab)」を新設。
さらに③では、既存の大型食品イベント「FoodExpo」「THAIFEX」といったタイの食品と観光経済がリンクするイベント支援と共に、eコマースを通じて中小企業の市場拡大を後押し。
そして④では、革新的な加工食品開発のための環境整備の他、各国の輸入基準をクリアできるよう、タイ工業標準(TISI)に加えて輸出専用の特別タイ工業標準(TISI.S)を設けるなど、より高品質な食品提供を目指すという。
この計画が達成できれば、タイの加工食品における国民総生産(GDP)は55%増、関連企業約760万社全体の収入4.5兆B増、新たな投資による収益4,800億Bなどが見込まれる。
指揮を執るスリヤ大臣は、「技術開発や経済成長だけでなく、生産者の暮らしを豊かにすることが根底にある。
生産者を支えることが、持続可能な開発に繋がる」と強調。
ASEANにおける加工食品分野を牽引すると同時に、世界に向けて存在感を示せるか。
“8年計画”は、まだ始まったばかりだ。