「日・タイ・ASEANを“人材”で支える」
《プロフィール》
バンコク事務所・所長
和田有平
わだ・ゆうへい
■1986年東京生まれ、東京都出身。東京大学経済学部を卒業後、2009年に経済産業省入省。流通業、電力、化学産業、福島復興などの担当を経て19年6月より現職。
■座右の銘: 明日やろうは馬鹿野郎
■尊敬する人物: 父親
■趣味: 料理、カクテル作り、飲食店開拓、旅
■休日の過ごし方: 散歩&飲食店開拓
■愛読書: キングダム、レモンサワーと酒場のつまみ
■よく見るウェブサイト: NNA
協会の役割を教えてください
AOTSは、海外の日系企業で働く現地スタッフの人材育成を支援しています。具体的には、現地スタッフが日本で研修を受けるための支援、日本人技術者等を海外へ派遣して現地スタッフが研修や技術指導を受けるための支援などを行っています。昨年で創立60周年を迎え、世界で延べ40万人の人材育成を支援してきました。タイは研修受講者数が5万人、専門家派遣数が2000人にのぼり、全体の案件のうち1割以上が集中する最重要パートナー国です。
また、バンコク事務所は1970年設立とAOTSの海外事務所で最も歴史が長く、タイの産業人材育成を半世紀にわたってサポートしてきました。
研修内容と利用企業は?
最も多く利用いただいているのが「技術研修」です。日本の研修センターで日本語や日本の文化・社会などに関する集合研修を行った後、各企業の現場で技術などを学ぶ実地研修を組み合わせています。タイでは製造業の利用が多いですが、建設業やサービス業での利用実績もありますし、管理職向けなどさまざまなメニューがあります。
特に、研修生の日本滞在費用や研修経費に対して最大3分の2の補助金支給、企業単独では取得が難しい実務研修(OJT)を行える研修ビザの取得支援などに高評価を頂いています。この制度を知らなかった企業の方からは「知っていたら利用していたのに」といった声を頂くことがあり、まだまだ皆さんに届けきれていないと感じています。より多くの日系企業にAOTSの制度を活用し、ビジネスの発展に繋げていただけるよう私もしっかりとPRしていきます。
「同窓会」のネットワークも魅力です
研修参加者が帰国後、「研修」という共通体験をもとに結束して、自主的に組織している団体が「AOTS同窓会」です。現在は世界43カ国・地域72カ所で展開され、なかでもタイ同窓会の活動は非常に活発で、日本企業とタイ企業との連携などにも注力しています。タイ同窓会には、閣僚経験者や財閥経営者など政財界の知日派・親日派の要人も多く、この貴重なネットワークを日本産業界と結びつけていく活動にも、今後取り組んでいきたいと考えています。
ASEANの横断的な役割もあると
AOTSバンコク事務所の所長は代々、日ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)の事務局代表を兼務しています。日本とASEAN10カ国との産業協力の実行部隊で、足下では地域内の大学と日系企業の連携による人材育成の促進や、現地スタートアップと日系企業とのパイロットプロジェクト組成のサポートに取り組んでおり、タイを中心に東南アジア全体で日本企業がビジネスを進めやすい環境整備に努めています。
喫緊の課題は?
新型コロナウイルスの流行に伴い、世界全体で人の移動が制約されている現下の状況は、グローバルな人材育成に取り組んでいる我々にとって大きな痛手ではありますが、収束をただ待つのではなく、今できることを積極的に実践していこうと考えを切り替えています。AOTSが考える人材育成の基本は「Face to Face」ですが、それが実現できない今を好機と捉え、ICT(情報通信技術)を活用したオンラインでの知識・技術の継承、“現場+オンライン”の新たな人材育成モデルの確立を目指します。またAMEICCとしては、ASEAN経済を支える日系製造業のサプライチェーン強化支援が最優先です。
各国で封鎖措置がとられ、多くの企業が生産の一時停止や縮小を余儀なくされていますが、地域内のサプライチェーンの多元化を進め、“安定的な供給体制”を構築することが急務ですね。梶山経済産業大臣とASEAN経済大臣が4月末に発表した共同イニシアティブでもその重要性が強調されており、我々も喫緊の課題として取り組んでいきます。
興味のある方はTEL02-255-2370(本事務所)まで