5日間に渡る閣議を経て、3法令が発動へ
「Before/After」という区切りで見れば、現在はその折り返し地点を過ぎたと言えようか。タイ政府は5月27〜31日にかけ、経済復興に向けた閣議を開催。
その最終日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う支援策・第3弾となる「1兆B借り入れ法令」「中小企業ソフトローン法令」「国家金融・経済安定保護法令」が承認され、総額1.9兆B(約6兆円)の予算を投じることを決定した。
これはタイ史上最高額かつ、国内総生産(GDP)の1割に当たる。
まず、各支援策の原動力となる資金確保を目的とした「1兆B借り入れ法令」により、①医療・保健支援に450億B ②国民・生産者・企業支援に5,550億B ③経済・社会活動の復興に4,000億Bが充てられるという。
具体的には―①同ウイルスに対する新薬やワクチン開発、医療道具・機器の購入 ②社会保障を受けられない失業者らへの月5,000B支給制度の対象を、農業従事者らへ拡大。
また企業に対し、社員雇用のための補助金給付や社会保険の支払い減額などを実施 ③農業や産業、投資、観光・サービス業などタイ経済を支える業界支援、家庭消費の刺激、国内インフラ開発 — といった用途が挙げられている。
また「中小企業に対するソフトローン法令」では5,000億Bを投じて、タイ中央銀行(BOT)から各銀行への貸付利子を年間0.01%に引き下げ。
同時に、中小企業が銀行から借り入れを行う場合は、最初の半年は無利子、その後は平時より低い2%未満の利子で対応するという。
さらに、「国家金融・経済安定保護法令」では4,000億Bを投入。
民間債券に対するセーフティネットの役割を担う目的として「Corporate Bond Stabilization Fund」を設立し、民間債券に対してBOTが資金供給・投資を行えると定められている。
タイ開発研究所(TDRI)のソムチャイ所長は、本予算の振り分け先の重要性を強調。
「政府は今一度、各企業や国民が何を求めているか、今後起こり得る問題など綿密に調査・検討する必要がある」と指摘した。
金額だけでは推し測れない、国としての力量が問われる。