利便性を主張する管理側と、存続を訴える反対派。 神社の移転を巡って、静かな攻防戦が続いている。
「この地を護る神社は地域の誇り。破壊よりも、新旧調和と地域コミュニティの尊重を願う」。
バンコク都内パトゥムワン区に鎮座する「黄橋天后聖母宮(タブティム女神神社サパーンルアン)」の移転問題に際し、活動家でもあるチュラロンコーン大学政治学部4年生のネティウィット氏はTwitter上にこう想いを記し、世界へ拡散。
彼を支持する若年層を中心に、移転反対の声が集めている。
道教の女神・媽祖(まそ)を祀り、110年以上の歴史を紡ぐ同神社。
1970年にはチュラロンコーン大学のお膝元である現在の場所に建立された。
しかし、数年前より周辺一帯の土地を所有する大学側が開発のための立ち退きを要求したことから移転問題が浮上。
次第に周囲の民家が取り壊され、現在では神社だけをポツンと一軒残して区画丸ごと駐車場に様変わりしてしまった。
先祖代々の神社を守る4代目によれば、借用地のため当初より新神社建設後に移転予定だったが、急遽今月15日までの退去を通告されたという。
ちなみに、跡地には総戸数1800戸のコンドミニアムが建設される。
移転先は、現在地から通り1本を挟んだ「チュラロンコーン大学100年記念公園」内。
建築学部の教授や卒業生が連携し、ジムなどが入居する多目的ビル2階に現代建築と風水学が融合した新神社を完成させる。
もしも反対の声が届かなければ、年内にも姿を変えるかもしれない人々の“祈りの場所”。
興味がある方は早めに訪れることをお薦めする。