プレー県のシンボルとして長く愛されてきた建物が突如撤去。「なぜ知らぬ間に?」。県民による抗議の行方は…
藍染めや昔ながらの街並みなど、近年観光客の人気が増している北部プレー県。その中心部にある“緑の家”を巡り、県民が声を荒げている。
この家は、イギリスの貿易会社の拠点として1889年に建設。
同県の主要資源であるチーク材を使用し、コロニアル様式とタイの伝統様式を融合した稀少な木造建築として地元では有名な存在だったという。
同社の撤退以降は、同県及び国立公園・野生動物・植物局によって管理。
しかし6月初旬、事前の通知もなく建物が撤去されたことから、建築家であり、プレー旧市街保護組合のリーダーでもあるティラウット氏を筆頭に県民らは猛反発。
16日、同県知事に抗議文を提出し、撤去理由及びその責任者の開示に加えて今後、同建物の開発プロジェクトに県民が参加できるよう強く求めた。
また同氏は「“緑の家”は釘を使わないタイ独自の建築技術と、数百年前のチーク材が残る、歴史・建築面ともにプレー県にとって貴重な文化財」と、その価値の高さを訴えた。
これを受けた同局は、「今回の撤去は老朽化が進む建物を長く後世に残すための改修工事であり、全体を解体した後、補強するなどして元の形に戻す予定だった」と釈明。
23日、同局長と同県知事は調査のため現場を訪れ、今後は芸術局を加えて改修方法を再検討すると共に、同保護組合や県民と意見を交わしながら工事を進めることを発表した。
完成した暁には、旧き良き伝統を継承するその姿を拝みにいきたい。