大手銀行の市場参入が、飲食店の救世主となるか
新型コロナウイルス(COVID-19)の流行を機に、フードデリバリーの引き合いが高まっていることはご存知の通り。中でも、同市場で注目を集めるのがタイ大手銀行の参入だ。
先陣を切ったのは「サイアム商業銀行(SCB)」。
LINE MAN、Grab Foodに次ぐデリバリー・アプリ「GET」と協力し、食に関する新たなプラットフォーム「Robinhood」を開発したと6月8日に発表した。
特筆すべきは、これまで契約する飲食店側に対して発生していた最大35%のサービス手数料が、一切かからない点。
そしてデリバリー完了から1時間以内に、飲食店と配達員に支払いが行われる点も特長だ。
同行のアーティットCEOは本プロジェクトについて「利益目的ではなく、当行のコンプライアンス(CSR)の一つ。
苦境に陥る飲食業界の負担を減らし、支援することが第一だ」と強調。
今月1日から運用を開始した。
それに続くのが「カシコン銀行」。
6月29日、子会社「Kasikorn Business-Technology Group(KBTG)」によるプラットフォーム「Eatable」の存在を明らかにした。
こちらもSCB同様に手数料ゼロに加え、デリバリーだけでなく、店内飲食時の事前予約や注文時などにも幅広く活用可能。
同ルアンロート社長は、「店内飲食に加えて、デリバリー部門も店を支える柱になれば」と言及。
COVID-19に伴う規制が緩和され、少しずつ明るい声が戻ってきた店側にとっても心強い。
今年9月の運用開始を予定し、その後は中国人観光客を対象に独自のサービスを展開する方針だ。
その一方でLINE MANは6月、BTSプンナウィティ駅周辺に同社のセントラルキッチン「LINE MAN Kitchen」を開設。
同社と契約する飲食店を同施設に集約することで、消費者に対するマーケティング強化を図るという。
多様化する市場だが、保健局のパンピモン局長は“食の安全性”に注視。
ウイルスや食中毒に対する安全性を求め、デリバリーサービスに関する法律の整備を検討したいとの見解を示している。
“New Normal”にいかに対応していくか。
さまざまな変化が求められている。