「3R」を筆頭とした水源開発計画の新たな一手とは
雨季も半ばを目前に、今年も干ばつによる水不足の脅威に晒されている。これは現政権肝いりの経済開発政策「東部経済回廊(EEC)」を冠したチョンブリー、チャチューンサオ、ラヨーンの3県も例外ではない。
域内主要5カ所の貯水池では既に水の供給率が前年比12%ほど減少。
灌漑(かんがい)局では事業者や地域住民らに節水を呼び掛けているが抜本的な解決には程遠く、深刻化が進む工業水の不足問題にも拍車をかけている。
こうした状況からEECの旗振り役であるプラウィット副首相は今月3日、EEC政策委員会および国家水源管理事務局(ENWR)が提案した、2027年までの中期水源開発計画を承認。
年間でおよそ8億7220万㎥の供給量拡大を目指し、新たな一歩を踏み出した。
総予算527億Bを投じた同計画には既存の6つの貯水池の拡張や運河・貯水池間を結ぶ配水パイプラインの整備といった38の事業があるが、中でも注目は「3R(Reduce・Reuse・Recycle)」に則った2つの計画だ。
まずは「タイ石油公社(PTT)」と域内の水資源を管理する「Eastwater」が共同出資し、チョンブリー県パタヤとラヨーン県マープタープット工業港に海水の淡水化工場を建設する計画だ。
同副首相は「前者は6000万㎥、後者では7000万㎥の水供給量増が期待できる」と述べ、23年までの稼働を目指している。
また域内では現在、生活周辺だけでも1日当たり55万㎥、37年には85万㎥もの排水量に達すると推測されることから、その再利用計画にも着手。
チュラロンコーン大学工学部チャワリット教授が陣をとって水循環システムの開発を行い、将来的には工業水や農業用水も含む排水の再利用を活性化させ、年間で最大6億㎥の節水を実現させるという。
この他、同計画には貯水池10カ所の新設も含まれ、すべてが整備されれば年平均で現在の53%増にあたる25億1200万㎥の水を供給できる見込み。
兎にも角にも大風呂敷を広げて外国企業の誘致を続ける以上、未来を見据えた戦略と軌道修正が望まれる。