2021年の施行に向け、国内外が熱視線
動画配信や電子書籍、オンラインショッピング、クラウドソフトなどコロナ禍の外出自粛期間にこれらのEC(電子商取引)サービスを活用していた人は多いだろう。特に近年は、アメリカ発の動画配信サービス「Netflix」や電子決済サービス「PayPal」、香港発の音楽ストリーミング「JOOX」、中国発のネット通販最大手「Alibaba」といった国外企業によるECサービスが急激に需要を伸ばしている。
彼らの存在感が強まるほどに、タイ国内の競合企業の不満は募る一方だ。
なぜなら自分たちにはVAT7%が課されているが、国外企業には課されていないのだ。
そんな背景を受けタイ国税局は先月、ECサービスに関わる課税法「e-Service Act(以下e-Service税法)」を承認。
2021年の施行を目指し、現在法案作成の最中という。
同局のエークニティ局長は今月6日、︎「今回の承認は世界のテクノロジー発展を追随すると共に、タイ国内外におけるECサービス事業の不平等の是正を目指す」と改めて強調。
また施行することにより、初年度は30億Bの収益が得られると予想し、今後の展開について関係者らを筆頭に注目を集めている。
現時点で課税対象に消費者は含まれず、該当するのはタイに法人を持たない、年間180万B以上の収益を取得する国外企業のみ。
電子書籍や音楽・映像、ゲームといったアプリケーションを含めたソフトウエア配信、クラウド上で電子データ保存のためのスペースを提供するサービス、ショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス、宿泊予約や飲食店予約サイトなどが挙げられる。
世界を見れば、同法承認は遅いと言えるだろう。
日本では15年に、同様の項目を消費税法に追加。
またオーストラリアや韓国、インドネシアを含めた約60カ国でも国外企業を対象にした同様の法律を制定している。
今後、間断なく新手の国外ECサービスが現れることは避けられない。
タイ政府としてはいかに国内企業を守りながら、市場を活性化できるか。
その動向を注視したい。