急成長する世界市場に追随すべく規制緩和が進む
タイで医療目的の大麻(マリファナ)使用が合法化されたのは昨年2月のこと。アジアで稀少な解禁国として注目を集め、今年に入りノンタブリー県に医療大麻専門クリニック、都内プラナコーン工科大学に屋内ファームを開設するなど、関連施設が続々と誕生。
国内最大の医療大麻生産量を誇る東北部サコンナコーン県を筆頭に、保健省管轄の研究所や農園が各地に設置され、新たな品種開発にも注力している。
また先月には、タイ式医療・代替医療開発局が健康増進活動拠点病院(Health Promoting Hospital)152カ所に対する医療大麻の導入を発表するなど、その展開は加速するばかりだ。
世界的な合法大麻市場が急拡大の一途を辿っていることも背中を押し、タイ政府は今月4日、国内における医療用大麻の栽培や使用に関わる新たな改正麻薬法案を承認。
これまで一部の政府関係機関や医師にしか認可されていなかった「生産・販売・輸出」に関わる足かせが、大きく外れようとしている。
現時点でタイにおける医療大麻薬は16種。
ストレスによる食欲不振や不眠症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、肝臓がんや卵巣がんなどさまざまな治療に用いられている。
年内の施行を目指すという同法案により、医師や薬用ハーブ生産に携わる民間団体らによる大麻栽培が可能になる他、処方する側はタイ式伝統医療資格を保持するすべての医師へと拡大。
当然、患者にとっても大麻治療がより身近なものとなるだろう。
首相府の副スポークスマン・トライスリー氏によると、今回の改正により大麻に関する研究や医療薬開発も自由化され、ひいては国外輸出などタイ経済を支える大きな収益源になると期待が寄せられているという。
しかし、もとは取り扱いが禁止されていた薬物。
不適切な使用が蔓延しては元も子もないと、保健省は生産者や一般の人々を対象に医療大麻に関する正しい知識の周知を目的にセミナーを開催している。
国を挙げた新たな市場開拓。
その動向から目が離せない。