H.I.S. TOURS「テーマは、旅行会社からの脱却」 津田 周和

「テーマは、旅行会社からの脱却」

《プロフィール》
CEO
津田 周和
つだ のりかず
■1973年生まれ。京都府京都市出身。大学卒業後1996年入社。関西営業本部部長、グローバルオンライン戦略室室長などを歴任した後、2018年から現職。
■尊敬する人:特になし。学びたい人、参考にしたい人ならたくさんいる
■趣味:旅行、商業旅客機に乗ること、見ること。音楽を聞くこと
■愛用の鞄:特にこだわらない。必要なければ持ちたくない
■休日の過ごし方:旅行、ドライブ


旅行業の現状をお聞かせください

弊社ではタイ人向けと日本人駐在員向けのアウトバウンドマーケットを中心に扱っていますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、案件はほぼ動いていない状態です。3月に発令された非常事態宣言、そしてロックダウンが続き、弊社もいわゆる休眠状態に入りました。海外との行き来は未だ目処が立っていませんが、今回のように世界中の往来がストップしてしまうといったことは、我々がかつて経験してきた9.11などの時でも起こりませんでした。6月に入ると国内旅行が動き出し、現在はその手配に専念していますが、タイ人向けの国内旅行マーケットを取り扱うのは初めてなんです。しかもタイ人の多くはツアーよりも個人旅行を好まれていますから、あまり旅行会社を頼りにしません。

 

また、8月に入ってからは社用で日本からタイへ戻って来る方々のための航空便やASQ(検疫隔離施設)の手配を行っています。定期便の復活が待たれていますが、旅行会社としても打つ手がなく、世界の状況次第といったところです。

 

旅行以外の事業を展開されていると聞いています

日本のH.I.S.には、旅行を通じた旅の総合商社を目指そうという構想があります。我々タイ法人でも、早急に何かをやらなければというムードになったのは確かです。このコロナ禍で旅行業の売り上げが激減し、会社存続の危機といっても決して大げさではない状況になったからです。そこで、タイにいる我々が持っているリソースを使って何ができるかを考えたわけです。その一つが家電製品の販売でした。旅行業で培ってきたホテルや飲食店などとのネットワークを、例えば空気清浄機のような家電製品の販売を通じて生かせることに気づきました。

 

弊社の営業マンは今まで旅行のためだけの営業に専念してきましたが、発想を変えれば家電製品はもちろん、いろいろなものの営業ができる。それでお客さまに喜んで頂けるなら、Win-Winの関係になれるわけです。

 

「我々は旅行会社だから」という発想を捨てて、喜んで頂けることやニーズがあることにどんどんチャレンジしていこうというマインドに変化してきたのは確かです。そこで、ちょうど今始まりつつあるのがLED照明販売事業。日本ではLED販売でトップクラスのアイリスオーヤマと組み、まだLEDの普及率が低いこのタイで販売する。今後製造禁止になると言われている、水銀灯の替わりの照明設備としてのLEDにも波及する話なので、これは環境問題にも貢献できる事業として高いモチベーションをもって臨みたいと考えています。

 

もう一つの新しい事業とは

学研とコラボして、弊社がマスターフランチャイズとなり、タイ全土に学研教室を広げていくという事業構想です。弊社ではバンコク、チェンマイ、チェンライ、ピサヌローク、パタヤ、シラチャー、プーケット、ラヨーンに支店を持っているのですが、まずそのうちの5店舗を改装して学研の教室を併設していきます。そのコラボレーション店舗を皮切りにして、いずれはタイ全土の77県すべてに学研の教室とH.I.S.の店舗を出店させようというプランです。

 

その背景には、お子さまを塾に通わせられることのできる方とH.I.S.を使って旅行をされる方が同じような所得層だということがあります。そこには、社会的な見識を深めるのに役立つ旅行と教育が重なることで素晴らしいシナジー効果が生まれるのではないか、といった理由もあります。

 

今後の展望は

基本的には法人営業も含めて旅行オンリーの営業から脱却して、マルチに営業をしていける存在を目指そうと考えています。ですから弊社の店舗も家電製品やスイーツなどの物販をはじめとした新しい事業の先鋒となり、今後は旅行販売だけではなくショールーム的な機能を持たせたいと思っています。旅行業だけではなく新規事業を積極的に展開し、旅行会社から脱却するというのが今後の大きなテーマとなっていきます。

 

昨年11月に刷新された同社ロゴ。挑戦者であり続けたいという願いが込められている

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