コロナ禍の影響で観光客が激減。 政府が打ち出した、観光経済復興策とは
アンダマン海。このインド洋の縁海の周囲には約1200kmの海岸線があり、約80万㎢の海面が広がる。
その南東部に位置するタイのエリアには、世界中から観光客が訪れる観光スポットが点在している。
アンダマン海の真珠と言われるプーケット島はその中でも代表的な観光地。
2004年の津波被害で一時的に観光客が激減したものの、数年間で観光客数は年間1500万人ほどにまで戻っていた。
抜群の透明度を誇る海は、世界中のファンを魅了してやまなかったわけである。
しかし、そこに新たに影を落としたのが新型コロナウイルスの世界的な感染拡大だった。
各国の国境が事実上封鎖され、プーケット島にも観光客が訪れなくなった。
コロナ禍による経済的損失は絶大。
観光収入に頼るホテルやレストランは、大きな影響を受け、倒産を余儀なくされるところも多数に及んだ。
そんな状況下、タイ政府は国内の感染拡大状況が好転してきたことから、アンダマン海に面した6県(プーケット、クラビー、パンガー、ラノーン、サトゥーン、トラン)の経済復興策を打ち出した。
「ラオ・ティアオ・ドゥアイ・カン(一緒に遊ぼう)」という旅行キャンペーンを展開。
政府が航空券代やホテル宿泊費の一部を支援して、特にこの6県への観光客誘致に力を入れたのだ。
また、タイ国政府観光庁(TAT)は、タイ在住の外国人を対象に国内旅行パッケージを販売するイベント「Expat Travel Deal 2020」を開催。
その狙いは、約250万人とされる潜在需要の掘り起こし。
アンダマン海を筆頭とした人気デスティネーションにスポットを当て、まさにカンフル剤を打ち込んだと言える。
先だって開催された「The Return of Andaman」というセミナーでは、スワット元副首相が座長となり6県の重鎮や観光業者、投資家が集まり、アアンダマン海が観光経済復興の牽引役となる施策を会談した。
その中には、観光客が6県のエリア内を周遊できる鉄道を開発するというユニークなアイデアも挙がったという。
世界有数の海洋リゾートには、にわかに熱い視線が注がれている。