自称“ルパン”の麻薬逮捕劇

タイの若者の間で蔓延しつつある“悪魔の粉ミルク”。 とある男の逮捕から、氷山の一角が見えはじめた・・・

バンコク都心にあるコンドミニアムの一室で1月25日、台湾国籍の麻薬密売人が逮捕された。

男の名はリウ・チュンチェン(38)台湾当局が2012年より行方を追っていたが、家宅捜索では偽造旅券が見つかった。

今年に入ってから都内では薬物事故が相次ぎ、20〜30代の11名が死亡。

社会問題となっている。

彼らを死に至らしめたのは合成薬物「Kノムポン」。

コミカルな響きだが「K」は日本では麻薬指定のケタミンを指し、通称・エクスタシーなどを含有する危険ドラッグに位置付けられる(ノムポンは「粉ミルク」の意)ある男性の証言ではそれを都内で600Bで購入し仲間と飲酒しながら吸引したところ意識を消失し、目覚めるとうち2人が息絶えていたという。

これを製造・販売していたのがリウ容疑者で、彼の自宅からは大量の薬物と製造方法を記したメモの他、拳銃や弾薬といった窃盗品も押収されている。

国家警察庁長官の発表によれば、同容疑者は13年にタイへ入国。

台湾とミャンマーの闇市場の他、いわゆるダークウェブや仮想通貨を通じた取引でも多額の収益を得ていた。

また、少なくとも8つの偽造旅券を使い住居を転々とするなど警察の目を逃れていたが、その暮らしぶりは悠々自適。

巷では彼を名怪盗になぞらえ“台湾のルパン”と揶揄(やゆ)し、自らもそう得意げに名乗っていたようだ。

ところが昨年10月、偽名でアラブ首長国連邦へ送った菓子箱の中からくだんの「Kノムポン」が検出され足が付き、彼の麻薬バブルは終焉を迎えた。

タイ警察では国際犯罪組織の関与を視野に入れ、台湾当局と連携して捜査の手を拡大していく方針だ。

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