“メタボ猿”を森へ還そう

まるで鏡餅のように丸々と太った食品市場のアイドル。 タイ国民が固唾を呑んで見守る大作戦が火蓋を切った

観光客の消えたロッブリーの街を占拠する“野猿”に、ココナッツを収穫する“農園猿”。

最近何かとサルが話題だが、“おデブ猿”だって負けてはいない。

3月末、バンコク東郊のミンブリー市場に「信じられないほど肥えた肥満ザルがいる」と海外メディアが報じた。

市場内で肉団子屋を営むマーノップさんが育てるそのサルの名は「ゴジラ」。

カニクイザルのオス(推定4才)で、もとは野生だが生後まもなく交通事故により両親と生き別れとなり、その救助活動にあたった同氏の息子が当局から許可を得て引き取ったのだという。

家族としてゴジラを迎えてから3年8カ月の間、一家は並々ならぬ愛情を注ぎ市場へも伴った。

そこでゴジラは看板犬ならぬ“看板ザル”として可愛がられ、買物客から与えられるエサを嬉々として頬張ったという。

すると次第に体型に変化が現れ、ピーク時には体重が20kgを超す巨漢っぷりが噂に…。

報道後すぐに当局が同氏を説得し彼を保護したが、今は健康問題の他、気性の荒さもやや見られるようだ。

この突然の展開に戸惑いを隠せないのは飼い主のマーノップさん。

保護施設を見舞った際も「ゴジラと引き離され心配で夜も眠れない」と嘆き悲しみ、同情の声が噴出した。

一方、当局側はそもそもの許可に誤りがあったとし、法的にも飼育は認められないと一蹴する。

そして肝心のゴジラはといえば、ヒマワリの種などの食事療法により1週間で800gの減量に成功。

半年ほど管理下に置かれた後、森に放たれる予定だ。

一度手懐けられた野生動物を還しても、生き残るには不自由が多かろう。

しかし、せめてこの復帰作戦が功を奏し、穏やかに過ごせることを祈りたい。

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