最期を看取ることもできぬほど、ヒトを蝕むコロナの残酷。 第3波の猛威の中、遂にエンタメ界初の死者が明らかに
新型コロナウイルスによる累計死者は6日までに世界で325万人を突破。“コロナ優等生”だったはずのタイでも感染拡大に歯止めが効かない状況が続くが、ある芸能人の訃報が国民をより深く行き場のない悲しみに陥れている。
亡くなったのはコメディアンで俳優のコム・チュアンチューンこと、ナーコムさん(63)1982年のデビュー以来バラエティ番組を中心に活躍し、“アイ・サット(=こん畜生め)”の決め台詞で一斉を風靡(ふうび)代表作「バトル7」など通算150本の映画・ドラマにも出演し、広くお茶の間で愛された。
また幼少期の貧困から読み書きが不得意であり、膨大な台詞を口述で暗記する努力家な一面も全国民の知るところ。
そんなコムさんの感染が判明したのは4月12日のこと。
愛娘によると検査当初は無症状だったが、高血圧や糖尿病といった基礎疾患があることから大事を取って入院。
ところが、みるみる症状が悪化したため都内の大学付属病院へと転院し、多臓器不全に陥ったまま30日朝に息を引き取ったという。
当然ながら彼の早すぎる死を悼む声は尽きない。
一方で、19日間の短い闘病中には無症状にも関わらず満床の病院にすんなり入院できたこと、さらに芸人仲間や医療チームらが応援動画を投稿したことから、“特権入院”との揶揄(やゆ)も。
有名であるがゆえ、思わぬ形で注目を浴びたのも事実だ。
感染者が死亡した場合、タイでは直ちに火葬式が行われ、立ち会えるのは近親者2名のみ。
30日15時から始まったコムさんの式も同様で、妻はビデオ通話で伴侶の最期を見守ったという。
見えない敵に未来を奪われる無念さは想像を絶するが、我々に今できることは…。
答えは各自の胸にあるはずだ。