3人の日本人男性に近づき、犯行に及んでいたタイ人女性が逮捕
タイで余生を過ごしている人には、衝撃的な事件だったに違いない。邦人男性、島戸義則さん(79)が交際していた女性に殺害されたというニュースが、連日話題となった。島戸さんは、タイで日本語教師として暮らしていた。息子には日本語教師として生活しながらも、一方で「女性と付き合っている」と告白し、悠々自適な日々をおくっていたのは想像に難しくない。
しかし、事態は一変する。島戸さんの息子から行方不明になったと通報を受けた警察は14日、島戸さんの家を捜査するも見つからず、交際女性のポンシャノック・シャイヤパ容疑者(47)を発見し、身柄を拘束。島戸さんの口座からはなぜか70万バーツが引き下ろされ、女性が真っ先に疑われたが、彼女の“本当の夫”のソムシャーイ・ケオバンヤーンが保釈金10万バーツを支払い、ともにバンコクから姿を消した。
捜査を続けていくうちに次々と黒い事実が浮かび上がる。容疑者は、日本語が堪能で、かつて3人の日本人男性と関係を持っていた。一人目のタナカという男性とは結婚し、娘をもうける。しかし、2003年、タナカさんは階段から転げ落ちて死亡。その際、生命保険金として、300万バーツを手にしていた。2005年、容疑者はイザワという男性に近づき、財産を盗み、逮捕。2010年、前科者となった容疑者だったが、再び邦人男性を狙い、カマガリという人物と恋仲になると、彼の口座から300万バーツを引き出して逃亡。容疑者は日本人男性と交際するたびに、名前を変えていたことも明らかとなった。
20日、警察はアントーン県でポンシャノック容疑者と共犯者のソムシャーイ容疑者を逮捕。ポンシャノック容疑者は「島戸さんは病院に通っていて、その日は口けんかとなり、突然、心臓麻痺で死んでしまった。犯人にされるのではと不安になり、遺体を切断してから袋に詰め、運河に捨てた」と殺害を否定しながらも、遺体をバラバラに切断したことを認めた。
島戸さんの余生は、悲しい結末を迎えた。本当なら穏やかな毎日を過ごしたかったはず。しかし、現実は違った。我々は日本人であり、甘い話には“何か”がある。そんな事実を改めて考えさせられた事件だった。
【写真上】ナーンティム運河にて、警察と救急隊が切断された島戸さんの遺体を入れた袋を発見