タイのシャーマニズム文化を描いた超大作が話題に。 アカデミー国際長編映画賞へのノミネートも
タイの映画界は、クオリティの高い映像やストーリーを創造することで世界的にも認知されているが、10月28日に公開されたホラー映画「The Medium(タイ語タイトルはラーンソン)」が話題となっている。映画はタイと韓国をそれぞれ代表する二人の監督による共同製作。
タイのバンジョン監督は「心霊写真」「愛しのゴースト」などの作品で名を馳せた鬼才。
一方、韓国のナ・ホンジン監督は「チェイサー」「コクソン」を手がけた世界的にも有名なサスペンス映画の天才だ。
さて、そんな鬼才と天才のタッグによる「The Medium」だが、そのテーマがタイ東北部に綿々と続くシャーマニズ文化だというから、面白くないわけがない。
アユタヤ王朝期に始まったとされるシャーマニズムは、実在するシャーマン(ラーンソン)が主役。
「霊を降臨させたり」「土地神と交信したり」「未来を予言したり」と、祈祷を通じてさまざまな事象を起こすとされている。
映画は、そんなラーンソンの家系に生まれた一人の女性が「何か」に取り憑かれて変化していく姿を描き、最後に衝撃的な事実がわかるというシナリオ。
「すべてのものには魂が宿っている」という神道のアミニズムにも近い世界観が作品の根底にあり、単なるホラー映画とははっきり一線を画している。
韓国では7月に公開された週の興行収入第1位。
コロナ禍のタイでも公開と同時に今年の興行収入第1位となった。
タイ映像作品協会連合会は早くもアカデミー国際長編映画賞へのノミネートを決定。
ロイクラトンを控えた今。
まるで芸術のような映像を通じて、精霊とはどんな存在なのかを考えてみるのもいいかもしれない。